『ヤンソンさんの誘惑』
2018.10.19
「ヤンソンさんの誘惑」というお料理があります。簡単に言うと「ジャガイモとアンチョビのグラタン」なのですが、スウェーデンの伝統的な家庭料理です。私も大好きで、冬になると食べたくなります。最近では日本でも知られるようになり、レストランなどでそのままの名前でメニューに載っているのを見かけることもあります。調理法はとても簡単らしいのですが、私にとってはまったくの専門外の領域なので、ここでは割愛させていただきます。お子様も好きな味だと思いますので、よろしければ調べてみてください。
スウェーデンでは「ホームパーティー」がよく行われ、その家庭に伝わる「ヤンソンの誘惑」が振る舞われるそうです。私も何度かお招きいただいたことがあるのですが、ご家庭によって見た目も味も違っていました。特に、ジャガイモの形はフライドポテトのように細長く切った形だったり、輪切りになっていたり、大きめのサイコロのようにカットしてあったり、とさまざまでした。
スウェーデンの知人に「ヤンソンさんの誘惑」という料理名について尋ねてみたところ、「スウェーデンでは『ヤンソン』という名前は一般的なんです」と教えてくれました。日本でいえば「田中さん」とか「佐藤さん」というようなイメージでしょうか。「『誘惑』というのは『とても美味しくて食べずにはいられない』というような意味です」とも。
先日、岡山県出身の友人と「ままかり」の語源についての話になりました。「まま」というのは「ご飯(お米)」のことで、「あまりに美味しいため、隣の家にご飯を借りにいってまで食べたい」という意味で「ままかり」という名前になったと聞いたことがあったので、それを伝えたら「そうなんです!よく知っていますね。その話は岡山では『食育』の一環として学校で教わるんですよ」と言っていました。
中学入試でも、「子どもにとって身近なもの」として料理について出題されることがあります。桜蔭中で出題された「おせち料理の『田作り』の名前の由来」が有名ですが、早稲田中では「鍋で米と魚介類や肉類を炊き込む、スペインを代表する料理名」が出題されたことがあります。「普段の食卓も『受験勉強』の一環」と考えては毎日の生活が味気ないものになってしまいますが、食事を通じて「身近なもの」に対する興味や関心を高めるのは大切なことです。以前、小4のある生徒が突然「先生!シュークリームの「シュー」ってなんのことか知ってる?」と聞いてきました。きっと、ご家庭でそんな話があったのではないでしょうか。
初めの話に戻ります。日本で1番有名な「ヤンソンさん」といえばトーベ・ヤンソンさんでしょう。先日の記事でも少し触れさせていただいた『ムーミン』の原作者です。私が子どものころ、テレビアニメで放映されていた覚えがありますが、今の子どもたちもいろいろな媒体を通じて知っているようです。『ドラえもん』と同じように、息の長いキャラクターですね。私の記憶では、ムーミンのガールフレンドは「ノンノン」という名前だったのですが、以前に生徒と話をしていたときに「そんなの出てこないよ。フローレンとかだったはず」と言われてしまいました。調べてみたところ、確かに新しくつくられたアニメでは名前が変わってしまったようです。「ノンノン」という響きが、欧米では「No」「Non」という否定的な意味につながってしまうから、という説もあるようですが。
来年の春には埼玉県にムーミン谷をモチーフにした『ムーミンバレーパーク』ができるそうです。私も行ってみたいような気がします。
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