『理社学習のスタートは身近なところから』
2018.10.24
先日、小6受験生のお母様から「下の子がドングリ拾いに行ったんです」というお話をうかがいました。そのお話を聞いて、私も小学校の低学年のころに「ドングリ拾い」というちょっとした徒歩遠足のような学校行事に行ったのを思い出しました。
小学4年生の理科のカリキュラムでは、9月の終わりから10月の初めに「秋のころ」という単元を扱います。以前、その授業のなかで生徒たちとドングリについて話をしたことがあります。
「ドングリって食べたことある?」と生徒たちに問いかけたところ、「えっ?あんなの食べられないよ」という答えが返ってきました。
次に聞いたのは、
「ドングリにはいろんな種類があるって知ってる?」
「うん。丸いのや、細長いのがある」
「丸いのと細長いのでは、木の種類が違うんだよ」
「へぇ……」
「ブナ科という木の種類があって、そのなかのクヌギ・コナラ・シイ・カシなどの実を特にドングリと呼ぶんだよ。ただ、ブナ科のなかには『栗』っていう木もあるから、大きく言えば栗の実もドングリの一種なんだけど、栗なら食べたことあるよね」
「栗ごはん! 好き!」(ちなみに栗以外のドングリでも食べられるものはあるそうです……)
そんな授業でした。小学4年生の予習シリーズには季節ごとに「○○のころ」(○○は季節)という単元があり、その時期の植物・生物や昆虫などについて触れられています。「秋のころ」という単元では、ヒガンバナ・ススキ・キキョウ・コスモス・ダリアといった草花が登場します。もうすでに最盛期が終わっているものもありますが、コスモスなどはまだぎりぎり見られるようです。
立川市の昭和記念公園のホームページを見たところ、台風の影響で一部被害を受けた花もあるようですが、今週末には「コスモスの摘み取り体験会」なども行われるようです。お近くの公園などに見に行くのもよいのではないでしょうか。予習シリーズや学校の教科書にも写真は載っていますが、やはり自分の目で見ることで、強く印象づけられ、記憶に残ると思います。
早稲田アカデミーでは、小学4年生から理科・社会の授業が始まります。「身近なところに興味を持つ」ということが、そのスタートラインです。実際の中学入試問題でも、そういった点を問う問題が出題されています。
小4社会では、「ふるさとじまん」という単元を2学期に扱います。大きな学習目的は、日本全体を地方ごとに理解すること、都道府県の名前や県庁所在地を覚え、大まかな位置を把握することにありますが、やはり『行ったことがある』『なんとなく親しみを感じる』という場所は定着度が高いようです。その一方で、「夏期合宿で行った志賀高原は何県にあるか知ってる?」という問いかけをしてみると、意外にわかっていない生徒もいます。「合宿のバスは東京を出発して、こんな風につながっている高速道路(関越道)を通って、ここまで行ったんだよ」と、ホワイトボードに簡単な地図を板書して話をすると、興味を持ったようです。「途中で埼玉とか群馬も通ったんだ!」。志賀高原が長野県にあることを知っていた生徒でも、東京から直接長野県に到着していたと思っていた生徒もいました。
テキストの中の文字を覚えるだけでは生きた知識は身に付かない、そんな風にいわれることがあります。「勉強のためにどこかに出かける」というのではありませんが、旅行やお出かけになる際には、ちょっとお子様のテキストをご覧になってみてもよいのではないでしょうか。
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