『「楽しい」の意味』
2019.05.30
先日、早稲田アカデミーに今年の4月に入社した新入社員と話をする機会がありました。「いまの仕事は楽しいですか?」という質問に、「はい、とても楽しいです」と答えてくれたので、少しイジワルをして、さらに「大学生活と比べて、どちらが楽しい?」と聞いてみました。返ってきたのは、「どちらも楽しいですけれど、楽しさの質が違うように思います。いまの方が充実しています」という答えでした。
「楽しい」という言葉は「幅広い意味」を持っているように思います。遊園地やテーマパークに行って「楽しい」と感じない人はまずいないと思います。ただ、そのときの「楽しい」は「仕事が楽しい」というのとは、その「質」が違うと思います。前者の「楽しい」は、映画を見ているとき、マンガを読んでいるとき、ゲームをしているとき、などと近い感覚です。一方で後者の「楽しい」は、仕事だけではなく勉強などにもつながる「楽しい」だと思います。場合によってはスポーツや音楽などの習い事でも、その「楽しさ」は生まれることがあるように思います。この2つの「楽しい」の違いを深くつきつめていくと、なかなか難しい問題につながるように思います。明確に分けられない部分があると思いますし、どちらにも当てはまらないケースもありそうです。
同じような言葉として「面白い」がありますが、こちらは「楽しい」よりは、区別がしやすいものだと思います。英語で「funny」と「interesting」の違いと言えばおわかりいただけるでしょう。「笑ってしまうような面白さ=funny」「興味深い=interesting」という分類になります。
「楽しい」を英語で分類してみます。品詞の区別をせずに列記すると「fun」「enjoyable」「pleasant」といったものが代表的なもののようです。遊園地の「楽しさ」は「fun」で間違いないと思うのですが、仕事や勉強を楽しいと感じるときにも「fun」が使われる場合があるようです。
横道にそれてしまいましたが、今回考えたいのは「仕事や勉強が楽しい」と感じるための要素です。遊園地やゲームや映画の「直接的な楽しさ」はその瞬間の感情に引きずられる要素が強いと思います。しかし、仕事や勉強の楽しさは、その瞬間が楽しいと感じられるかどうかだけではないはずです。ときには、その瞬間は「つらい」と感じていても、全体として「楽しい」と感じる場合もあるのではないでしょうか。たとえば、サッカーや野球の練習を「楽しい」と表現することは多いはずです。しかし、ランニングや基礎トレーニングをやっているときは「楽しい」よりも「つらい」という感情が芽生えることもあるでしょう。
仕事や勉強の「楽しい」につながる感情を考えてみます。「充実感」「達成感」「満足感」「自己肯定感」といったところでしょうか。そして、その背景には「目標」「計画」「正しい評価」「成長の実感」というものがあるはずです。
私は生徒たちが「中学受験に向けた生活を楽しんでくれる」ということを考えながら指導しています。「目標」を持って、「計画的」に学習をし、その学習によって自分が「成長しているという実感」があれば、そこには「楽しい」という気持ちが生まれてくると思うのです。さらにその努力を、先生や保護者の皆様が「正しく評価」してくれれば、その楽しさはさらに増幅されることでしょう。
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