『小学生の集中力②』
2020.02.19
前回の記事で、学習に必要な「集中力」について書かせていただきました。今回はその続きとなります。
前回の記事の最後に、「お子様が学習に集中できていないなあ、と感じられたときに、皆様はどうなさいますか。多くの方が『もっと集中しなさい!』と声をかけるのではないでしょうか。しかし、実はその言葉の効果はあまり高くはありません。自分は今集中できていないんだ、ということを認識することにはつながるかもしれませんが、ではどうすれば集中できるかは、お子様自身ではまだまだ解決できないはずです。」と書かせていただきました。では、どのようにすればよいのか……というのが今回のテーマです。
小学校の低学年から3・4年生ごろまでは、集中できていないときには、学習を継続しない方がよい場合が多いと、私は考えています。集中できていないのに無理やり学習を続けさせてしまうと、ダラダラとした学習になってしまいます。時間ばかりかかる一方で、頭はほとんど回転していない……といった状態が続きます。そして一番怖いのは、そんな状態を「自分は勉強している」と思いこんでしまうことなのです。
保護者の皆様からよくご相談いただくこととして、「時間をかけて勉強はしているけれど、成果につながらない」というものがあります。お子様のご様子をうかがうと、上記のようなダラダラ学習を継続してしまっていることが多くあります。ですから、お子様が「集中していないな」と感じられたときは、いったん学習を打ち切ってしまうのもひとつの方法です。
このときに大切なのは、「集中できていない要因」を探ることです。お腹が減っている、体が疲れている、見たいテレビをやっている、などの外的な要因もあるでしょうし、悩み事や不安なことがある、といった内的要因の可能性もあるでしょう。お子様がどんなときに学習に集中できないのかをしっかりと把握をすることは、家庭学習の成果を高めるためのとても大切な保護者の役割とお考えください。
さて「集中力がない」というお子様は、総じて「頭の回転が速い」タイプであることが多いと、私は考えています。「回転が速い」と聞くと何か良いイメージになりますが、ここではほめている、というわけではなく、単にそういうタイプだとお考えいただければと思います。頭の回転が速いために、次々といろいろなことが気になり始め、ひとつのことに集中できなくなってしまうことが多いのです。一方で、このタイプのお子様の場合、いったん集中すると一気に片付けてしまうことも多いはずですから、短時間での学習をおすすめします。逆に長時間の学習や暗記などの地道な作業は苦手なことが多いので(もちろん将来的にはそれも必要なのですが)、3・4年生の段階では得意な部分を優先的に学習させるようにしておくとよいでしょう。
「集中力」をいきなり向上させる特効薬などはありません。お子様のタイプを理解して、集中できる環境や時間の中での学習を継続させることで一定の経験を積み、あわせて精神的な成長が伴ってくることで、小学生としての「集中力」は自然と身に付いてくるものです。
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