『オンライン授業の学習効果を高めるために』
2020.06.19
いよいよ来週から、早稲田アカデミーでは(小1・小2をのぞく)全学年で「対面授業」が再開となります。新型コロナウイルスに関しては、国内においてもまだ「完全に終息した」とはいえない状況ですし、海外では依然猛威をふるっている地域もあるようです。社会的な情勢としては「次へ向けて」進んでいくための新しい生活スタイルの導入が進み始めているように思います。早稲田アカデミーにおいても「お子様とご家族の安全と健康」を第一に、さらには「地域社会への感染拡大防止」という視点を崩さずに、「対面授業」と「双方向Web授業」をお選びいただける「早稲アカDUAL」というシステムを導入いたしました。先行して「対面授業」を再開した受験学年でも、「早稲アカDUAL」はおおむねご好評をいただいているようです。
先日、テレビである大学の教授がインタビューに答えていらっしゃいました。「オンライン授業についてはどのように考えていますか」というような質問に対してだったのですが、「単純に知識を教授するだけであれば、オンライン授業は一定の効果があると思うが、学生の成長を支援していくという観点で考えると物足りない」というようなお答えでした。この点に関して、私も完全に同意見です。
Zoomを使ったオンライン授業では、対面授業にはない「良さ」もあります。細かい点ですが、「写真」を画面で見せられるのは、非常に授業がやりやすくなっています。ホワイトボードに図を描く必要がありませんので、算数の複雑な図形問題などはとても教えやすいと感じています。こういった授業技術をサポートするために、「電子黒板」というツールもあるという話を聞いたことがあります。近い将来、早稲田アカデミーの授業にも導入されるかもしれないとも思っているのですが……。
上記したように、Zoomを使ったオンライン授業の「良さ」もあるのですが、やはり個人的には「対面での授業」の方が、学習効果を高めることができると考えています。大学受験を目指す高校生であれば、映像授業と対面授業の学習効果の差はそれほど大きくはないでしょうが、小学生・中学生にとってはそこにはある程度の「差」が出てくると思うのです。そこには「教える側」「教わる側」、それぞれの理由があります。
「教える側」、つまり講師にとって、やはり一番気になるのは生徒の反応です。説明した内容をどれくらい理解しているのか、それを使いこなせるようになっているのか、そこを随時確認しながら授業を進めていくのが普通です。予備校型の授業の場合は、一方通行で「知識」を伝えていけばよいので、受け手の状態は考えなくても授業を進めることが可能です。しかし、小学生の授業では理解や定着の度合いを確認しながら授業を進め、ときにはもう一度解説をし直したり、かみ砕いて説明したり、という進め方も必要になるわけです。双方向Web授業では、ある程度の「反応」は返ってくるものの、やはり物足りなさを感じています。
次に「教わる側」を考えてみます。教室で、先生の目があり、さらには同じ目標を持った生徒たちと机を並べている場合の「緊張感」と、ご家庭で画面に映る授業を受けているときの「緊張感」には、やはり差が生じてしまうのは、当然のことだと思います。精神的に成長してくれば、自分自身を律して集中して授業を聞こう、授業に参加しようという意識も生まれてくるのですが、小学生の段階ではなかなかハードルが高いことのように思うのです。
大げさな言い方をすれば、直接人と接することで「心が動く」のではないかと思っています。音楽でも、CDを聴くよりも、実際に演奏している「コンサート」の方が感動することが多いでしょう。心が動かされる「振幅」が、直接「人」と接することで大きくなるように思うのです。塾の授業の中でも「感動」があるはずです。「あっ、そうか!わかった!」というときの生徒たちの表情が、私は大好きです。ちょっと難しい問題が自分で解けたときの笑顔、難しいと思っていた問題が理解できたときの笑顔、そこにも「感動」「心の動き」を感じます。
ここまで「対面授業」の良さを書かせていただいてきたのですが、「オンライン授業」でも個別にその良さを活かしていくことができると考えています。「早稲アカDUAL」は、できる限りその点を追及していきたいと考えたシステムです。ご家庭やお子様の状況によっては、「オンライン授業」の継続をお選びになっている方もいらっしゃると思います。ご家庭で授業をお受けになっていらっしゃる場合は、お子様の授業参加時のご様子などもご覧いただいている場合も多いかと思います。「どうも集中しきれていなさそうだ」「理解しきれていなさそうだけど、質問していない」というような、お子様のご様子があれば、お気軽に担当講師までご相談いただければと思います。「オンライン授業」でも学習効果を高めていくためには、塾(担当講師)とご家庭との連携がとても重要になると思っています。
「オンライン授業」の良い点がもうひとつあります。ご家庭のご様子が、我々にも比較的わかりやすいという点です。先日の小3理科の授業が「昆虫」だったのですが、その授業のあとでひとりの生徒が「先生、見て!」と画面に映してくれたものがありました。家で育てている「ダンゴムシ」の水槽でした。しっかりと観察研究をしているようでした。もうひとりの生徒は、数週間前に授業で扱った「水溶液」に関して、自宅での研究成果を書いた模造紙を画面に映してくれました。「酸性・中性・アルカリ性」をしっかりとリトマス試験紙(phチェッカー)で調べてまとめていました。私が授業で触れたことを、さらにご自宅で発展させて学習している生徒に、私が「感動」した瞬間でした。
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