『目をよくする、耳をよくする②』
2020.07.03
前回に続き、「目をよくする、耳をよくする」というテーマですが、「視力や聴力」を高めるということではありません。前回の記事では、「空間図形」をしっかり「立体的」にとらえられるようなトレーニングをする、という内容で書かせていただきました。今回は「耳をよくする」という内容について。
学力を伸ばしていくためには、「聞きとる力」がとても大切です。保護者会などで、「授業を受ける力」を伸ばすことが、学力向上につながるという話をさせていただくことがあります。そこでも「聞きとる力」がとても大切になってきます。授業中に講師が話した内容の中で、重要な点をしっかりと聞きとって把握するというイメージです。もちろん講師は「重要なポイント」を強調して話をするのですが、小学生の場合(実は中学生もですが)必ずしもそこが頭に残るというわけではありません。ある程度のトレーニングをすれば、どこが大切かを「聞き分け」て、そこをしっかりと覚えておくこともできるようになります。しかし、経験やトレーニングが足りていないと、なかなかうまくできないものです。中学校や高校に進学すれば、授業内容はより高度になり、授業内で学ぶ内容の密度も濃くなりますので、小学生の間に「耳をよくして」おくことが必要だと考えています。学校の授業よりもスピードが速く、密度も濃い進学塾で身に付けるべきことは「学習内容」だけではなく、この「学習の仕方」「授業の受け方」であり、それが次のステージでの学びにつながると思っています。
さて、「耳をよくする」ということは、「語学」の学習においても非常に重要です。現在の日本の教育における大きな話題として「英語教育改革」があります。「入試のための英語」ではなく、「学ぶためのツールとしての英語」「将来、社会で活躍するための英語」をしっかりと学習させるというのが、改革の大きな方向性になっています。そういった「英語力」を身に付けさせるための「英語学習カリキュラム」が小学校から導入され、高校入試や大学入試でも「文法」や「語彙力」を試すだけではなく、さまざまな視点からの出題がされるようになってきているのです。すでに東京都立高校では入試において「スピーキングテスト」が導入されることも決まっています。
昨年、全国の中学3年生を対象に実施された「全国学習状況調査」でも「聞くこと(リスニング)」「話すこと(スピーキング)」の問題が出題されていました。私が担当していた中学3年生も受験してきていたので、感想を聞いてみました。多くの生徒が、「言っていることはわかったけれど、時間が足りなかった」と話していました。早稲田アカデミーの高校受験カリキュラムで英語を学習している生徒たちですから、中学生としては比較的高いレベルの英語力を持っています。ただ、「英語で問われたことを日本語に訳して、次に日本語で答えを考えて、それをまた英語にして答える」というやり方では間に合わなかったということのようでした。
早稲田アカデミーでは、今年度から本格的に「オンライン英語教育」を中学1年生(小学5・6年生の公立中進学コース生も)対象にスタートいたしました。海外の英語教師と「オンライン」でつなぎ、1対1の授業をオールイングリッシュで受けるというスタイルです。単なる「英会話」ではなく、早稲田アカデミーの英語カリキュラムに沿って、早稲田アカデミーで使っているテキスト内容で授業は進みます。私はこの授業について「継続的に受講することで、英語力そのものが飛躍的に伸びます。何より初めに『耳がよくなって』いくはずです」とお話しさせていただいています。
私は英語がそれほど得意ではありません。特に発音に関しては、まったく自信がありません。先日、ちょっとした需要があり、書店の洋書コーナーに行きました。背表紙に書いてある文字を見れば、大体の意味はわかるのですが、たとえばその本について「英語で会話する」ということになると、まったく自信はありません。 数年前に国立のお茶の水女子大学附属高校が「あなたがこれまでに読んだ本の中で感銘を受けた本を英語で紹介しなさい」という英語の問題を出題しました。記述式の問題ですが、この問題がスピーキングで出題されたら、私には合格点は取れないだろうと思うのです。
小学校でも英語が必修化されています。小学3・4年生では「外国語活動」として年間35時間が、小学5・6年生では「英語」という科目での学習が年間70時間のカリキュラムとして組まれています。現時点では、中学入試(帰国生入試など以外)で「英語」のテストを取り入れている学校は非常に少ない状況ですが、将来的には「英語」のテストを行う学校が増えてくる可能性もあるかもしれません。
早稲田アカデミーの中学受験カリキュラムでは「英語」の授業は行われていませんが、上記のような点も踏まえて、次回も「英語学習」についての話題を続けさせていただきます。
- 2020.07.03 『目をよくする、耳をよくする②』
- 2020.07.01 『目をよくする、耳をよくする①』
- 2020.06.26 『国語の勉強の仕方がわからない……』
- 2020.06.24 『忍耐強い……』
- 2020.06.19 『オンライン授業の学習効果を高めるために』