四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「子どもの幸福度」と「学力の三要素」』

2020.09.04

昨日(9月3日)、ユニセフが子どもの幸福度を調査した報告書を公表した、というニュースを見ました。ご覧になった方も多いと思いますが、「幸福度」の総合評価で、日本は先進国や新興国など38カ国中、20位という結果でした。上位にはヨーロッパの国(特に北欧諸国)が多く入っていました。2013年に同じ調査が実施されたときには、日本は6位だったということで、総合評価は下がってしまっています。


各項目は「身体的健康」「精神的な幸福度」「学力・社会的スキル」の3つに分かれています。項目ごとの日本の順位は、「身体的健康」は1位、「精神的な幸福度」は37位と、この二項目に関しては対照的な結果になっていました。


もうひとつ「学力・社会的スキル」という項目では27位。読解・数学力などの学力部分は上位でしたが、社会的適応力といった部分で下位となっていました。学力は比較的高いけれど、社会的なスキルが相対的に低いという結果は、個人的に考えさせられるものがありました。


大学入試センター試験の廃止(大学入学共通テストの導入)に代表される「高大接続改革」は、単に試験制度の改革ではなく、「高校までで身に付けるべき力の見直し」だと私はとらえています。その改革の根底にある「学力の三要素」として文部科学省が発表しているものは、以下の3つです。


①知識・技能の確実な習得
②思考力・判断力・表現力
③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度


さらに、それぞれの要素で「育成すべき資質・能力」として、以下のように書かれています。


①知識・技能「何を理解しているか・何ができるか」
②思考力・判断力・表現力「理解していること・できることをどう使うか」
③学びに向かう力、人間性など「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」


今回のユニセフの調査結果と併せて考えると、日本の子どもは、上に紹介した「学力の三要素」のうち①と②に関しては一定以上の水準にあるが、③が大きな課題となっているように思えてくるのです。


「高大接続改革」では、この「三要素」の力を大学入学試験で試すという形が求められていますが、そういった出題傾向はすでに大学入試でも高校入試でも中学入試でも始まっています。「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を試す出題はもちろんですが、「主体性・協働力」を試すような問題も出題され始めているのです。そういった力が次のステージでの「学び」につながり、将来、社会に出てから活躍するために必要な力にもつながっていくということなのだと、私も考えています。


毎日生徒たちと触れ合う立場として、やはり「子どもの幸福度」という言葉は気になります。保護者の皆様も日々考えていらっしゃるのは「子どもの幸せ」でしょう。いま塾に通わせているのも、将来のお子様の幸せを考えてのことであるのは間違いのないところだと思います。ユニセフが実施した調査は、さまざまな要素が含まれたものですし、調査項目も限られた範囲のものになっていますから、その結果がすべてではないと思います。また、「幸せ」という基準はある意味主観的なものですから、数値で測ることができない部分もあるようにも思っています。ただ、目の前の生徒一人ひとりが、将来社会に出たときに、「幸せ」を感じてもらえるようになってほしいと考えています。

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