四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『国語力を高める ~助詞に注意を~』

2020.08.21

今回は国語の話を。
「てにをは」……国語で「助詞」を意味する言葉として使われます。「『てにをは』を大事にしましょう」というように使われることもあります。インターネットなどで調べてみると、そもそもは漢文からきている言葉のようですが、現在では狭い意味で「助詞」を、広い意味では「言葉遣い」や「文の作り方」を意味する単語となっているようです。


国語力が高い生徒の共通の特徴として、助詞に対する意識が高いと、私は思っています。小3・小4の段階であれば音読をさせてみるとわかるのですが、助詞の読み間違いや「飛ばし」が目立つ生徒がいます。そういう生徒は、たいてい国語を苦手としています。日本語の場合、助詞を一文字間違えるだけで文意は大きく変わってしまいます。そういったところに、(自然と)意識が向いているかどうかで、読解力にも差が出てくると思います。


また、記述問題の解答をきちんと「まとめる」ためにも、助詞をしっかりと使いこなすことが大切になってきます。小3・小4段階では解答に必要な「要素」が入っていれば、マルをつけることの方が私は多いです。ただ、小5以上の生徒であれば、「要素」だけではなく、「文としてきちんとまとまっているか」という点も心がける必要があるでしょう。そのためには、適切な助詞をきちんと使うことが大切です。


助詞は使い方だけではなく、文脈からきちんと意味を理解することも必要です。たとえば、「の」という助詞は、非常に便利で使いやすいのですが、その反面、意味をしっかりと考えなければなりません。「先生の絵」という表現で考えてみてください。その意味するところは、大きく3つ考えることができます。「先生が描かれている絵」「先生が所有している絵」「先生が描いた絵」という3つです。この点に関しては、文章を読解するときはそれほど意識する必要はありません。意味があいまいにならないように、書かれていることがほとんどですから、意識して考えなくても自然と理解ができるはずです。一方で、解答を作るときには、あいまいな記述にならないように注意しなければなりません。


また、「へ」という助詞についても考えてみましょう。「成績への悩み」という表現を聞いたことがあります。「成績に関する悩み」という意味だと推測されるのですが、「へ」という助詞が入っていると「悩み」そのものが「『成績』に向けられた」もののように表現されてしまうわけです。「へ」をとって「成績の悩み」とすれば問題はないのですが……。「先生への相談」「母への手紙」という表現と比較していただくと、わかりやすいかもしれません。「相談」「手紙」が向けられた対象が、それぞれ「先生」「母」となるので、これらの表現に違和感はないのですが、「成績への悩み」では「悩み」が向けられる対象が「成績」ではないので、少し違和感を持つわけです。


助詞ではありませんが、似たような表現に「○○に対する」と「○○に関する」という言い方があります。よく同じような意味で使われているのですが、厳密にいえば、やはり使い方は違います。「対する」は助詞でいえば「への」に近く、「関する」は「の」に近くなるでしょうか。


少し細かい話になってしまいましたが、国語力・読解力・作文力を伸ばしていくことを考えたときに、(小学生にとって)難しい語彙を多く身に付けることはそれほど大切ではありません。それよりも、助詞をはじめとした「表現」を正しく理解し、さらには使いこなせるようにすることが効果的だと考えています。

同じテーマの最新記事

2020.08.21 『国語力を高める ~助詞に注意を~』
2020.08.19 『夏休みが終わり……』
2020.08.07 『夏の学習成果』
2020.08.05 『夏休みの感動体験』
2020.07.31 『子どもを叱る』
資料請求はこちら
早稲田アカデミー