『子どもを叱る』
2020.07.31
新型コロナウイルスの影響の中で、お子様がご自宅で過ごす時間も増えていることでしょう。一緒に過ごす時間が多くなってくると、お子様を叱らなければならない場面も多くなるのではないでしょうか。今回は「子どもを叱る」という点について。
お子様を叱る際に、親子の間ですから、ときには感情的になってしまうこともあるかもしれません。子育ての本などを読むと「感情的に子どもに接することはよくない」と書かれているものもありますが、私は、それほど気にしなくてもよいと思っています。叱られることで、お子様の気持ちが落ち込むこともあるかもしれませんが、まったく叱られずに育つよりも、悪いことは悪いとしっかりと教わって育った方が、お子様の将来を考えるとよいはずです。
ただ、少し頭の中に置いておいていただきたいことがあります。それは、叱り方です。「悪いこと」をしてしまったとき、もしくは、「やらなければならないこと」をまったくしなかったときには、頭ごなしに叱っても問題ないと私は思います。しかし、お子様が「良かれと思ってしたけれどうまくいかなかったとき」、「やるべきことをやったけれど中途半端であったとき」などは、頭ごなしに叱ってしまうと、お子様は落ち込むだけではなく、大きく否定されたような気持ちになってしまうため、次に影響がでてしまうことがあります。
たとえば、漢字テストがあるのはわかっているのに、まったく勉強をしていかずに0点だったとき、この場合は強く叱らなければなりません。しかし、漢字テストの範囲を間違えて勉強していき、結果として0点だったときなどは、頭ごなしに叱るのはよくありません。「漢字テストの勉強をしていかなければならない」という気持ちはそこにあったわけですから、0点という結果だけを見て叱られてしまうと、漢字練習をしたという行動まで否定されたようにお子様は感じてしまいます。
さて、では練習範囲を間違えて0点をとってしまったとき、どのように叱るのが効果的なのでしょうか。
①まず「0点であったこと(範囲をちゃんと聞いてこなかったこと)を叱る」、次に「範囲を間違えてはいたけれど漢字の練習をしていたことは評価する」。 ②まず「範囲を間違えていたとはいえ、練習をしていたことを評価する」、次に「0点であったこと(範囲を間違えてしまったこと)を注意する」。
どちらの叱り方がよいかは、お子様の性格や状況にもよりますので、一概には言えませんが、私は②の方法をとるようにしています。お子様の気持ち(叱られる側の気持ち)に立った場合、初めに否定されてしまうと、「すべて」を否定されたように感じてしまうことがあります。その後でフォローするかのように褒められても、そこは「付け足し」程度にしかとらえられないはずです。「すべて」が否定されたように感じ始めると、お子様はおどおどしたり、自分からは行動をとらなくなったり、言い訳ばかりを探すようになったりします。
セミナーなどでもよくお話しするのですが、お子様の「叱り方」や「ほめ方」には決まった方法はありません。ただ、ひとつ申し上げられるとすれば、お子様の気持ちを考えて叱ったり、褒めたりしなければならないということです。「きっと叱られるだろうな」と思っているときに、叱られれば、それは納得がいきますし、次にもつながっていくものだと考えています。
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