『keep-problem-try』
2020.09.16
夏の終わり実施された「各種テスト」の結果がお手元に届いたことと思います。思った通りの結果だったお子様もいらっしゃると思いますし、「夏にがんばったので期待していたのに……」という結果だったお子様もいらっしゃることでしょう。いずれにしても、テスト結果についてお子様と会話をされたことと思います。
テスト結果に関しては「振り返り」を行って、次につなげることが必要だとよく言われます。中学受験だけではなく、高校受験でも大学受験でもそれは必要なことですが、その「振り返り」を誰が行うかという点は異なるはずです。大学受験を目指す高校生であれば、模試の結果を自分でしっかりと分析し、そこから先の学習指針を立てることになります。高校生になってまで、親が模試の結果を分析して「ああしなさい、こうしなさい」というのはやはり少しおかしいでしょう。しかし、小学生にとって、「自分で振り返る」というのは、なかなかハードルが高い作業です。結果として、親や先生(講師)がテスト結果を分析して、次につながるように話をしていくことになるはずです。
「kpt法」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。ビジネス用語ですから、ご自身のお仕事の中でご存知の方も多いと思います。仕事の進め方を「振り返る」ための手法です。非常にシンプルな方法であり、効果も高いので、応用範囲がとても広いと言われています。実はお子様の「テストの振り返り」にも「講習会の学習の振り返り」にも応用できると、私は考えています。
インターネットで検索をすると詳しく説明されているものが多数ありますので、ここでは簡単にご紹介させていただきます。「kpt法」では、「振り返り」を次の3つの視点から行います。
「keep」→よい点なので、このまま「継続」していくポイント 「problem」→よくない点なので、「改善」していくポイント 「try」→課題を解決するために、もしくは新たに「挑戦」していくポイント
お子様のテスト結果で考えてみましょう。 「計算の問題は全部できていたから、このままがんばっていきましょう(keep)」 「文章題の条件を読み間違って×になっているから、これは直さなければだめだね(problem)」 「文章題の読み間違いをしないために、『問われている』ところに線を引くようにしてみよう(try)」 「後半の応用問題が空欄になっているから、ここをひとつでも解けるようにしよう(try)」 このような感じのイメージです。
ここでお考えいただきたいのですが、お子様とテスト結果についてお話しいただくときに、次のような「振り返り」になっていませんでしょうか。
「今回は偏差値が『3』下がっているよね。次はがんばらなければダメだよ」 偏差値や得点の数字だけを見てしまうと、具体的な「課題」が明確にならないために、結果として「がんばる」という抽象的な表現しか出てこなくなってしまいます。「がんばる」という言葉は「try」にはつながらないことがおわかりいただけるでしょう。
「こことここを間違えているのがよくないね。あとこの問題が空欄になっているのも……」 「problem」の列挙になってしまっている「振り返り」です。「keep」の部分の分析と指摘から入ることが大切だとお考えください。さらに「problem」に対しての「try」、つまりは「課題の解決法」をお子様とお話しいただくのがとても重要です。ぜひお試しください。
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