四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『経験したことがない問題』

2020.09.18

「コロナ禍」という言葉をよく聞くようになりました。「全国的」にというよりも、「全世界的」に、全人類に降りかかった禍(わざわい)なのだと私も思っています。世界各国で仕事の仕方だけではなく、日常生活そのものも見直され、細かい点でいえば「マスク」という物に対する認識も大きく変わりました。最近テレビでは、「感染者数」や「コロナウイルスそのもの」「ワクチンの開発」などといった、感染拡大当初から報道されていた話題に加えて、「コロナ禍における人々の生活」「経済活動」といったニュースも目立つようになってきています。そういったニュースの中で触れられる言葉として「過去に経験のない事態」というものがあります。いままでに人類が経験したことのない感染症の拡大の中で、政府が、企業が、そして個人がどのように判断をしていくか、というようなテーマです。この先、どのようになるのかという予測も難しい中で、「いま何をやるのか」「いま何ができるのか」ということを考えるのが大切であるというのは、私も同感です。


「経験したことがない事態」ですから、当然この先を「予測」することは困難でしょう。「きっとこうなる」という一つの「正解」があるわけではありませんから、さまざまな要素を考慮し、いくつもの方向性を想像し、結果として「いまの行動」に対する「最適解」を見つけ出していく、そんな思考が求められているのだと思います。そして、これからの将来を生き抜き、未来の社会で活躍するためには、そういった能力が大きく必要になってくると、個人的には考えています。


中学受験でも「経験したことがない問題」が出題されることが多くあります。特に難関校の入試問題では増えてきているようです。ひとつの「正解」を答えさせる問題ではなく、その場で考えた「自分なりの意見」を答えさせる問題です。「あなたが考えた『未来のトイレ』を説明しなさい」「あなたがこれまでの日常生活の中で算数的な考え方が役に立った事例を答えなさい」といったような問題はその典型的な事例でしょう。


中学受験へ向けた学習の中で実施されるテストをこの視点で考えると、大きく二つに分類されます。「出題範囲が定まったテスト」(早稲田アカデミーならば「小3マンスリーテスト」や「公開組分けテスト」)は、一定期間の学習定着度を測るために行われますので、その期間に学習した内容が出題されるのが普通です。中学校や高校の「定期テスト」も同じ目的で実施されますので、お分かりいただけるはずです。一方で、中学受験の進学塾では「出題範囲が定まっていないテスト」も行われます。総合的な学力を試すために行われるテストということができるでしょう。最終的なゴールである中学受験の入試問題も、言ってみれば総合力を試すテストということになるわけです。


定着度を測るテストでは、学習した単元内容が中心に出題されますので、ほとんどは「どこかで見たことがある問題」になっています。一方で、総合力を試すテストの場合、生徒にとっては「見たことがない問題(=経験したことがない問題)」が出題されることがあります。中学校によっては、学校説明会などで「生徒たちがいままで経験したことがないような問題を出題する可能性があります」と明言しているところもあるようです。


「見たことがない問題」に対して、どのように取り組み、いままでに学んだことを組み合わせて正解まで行き着く「力」は、非常にレベルの高い「学力」であると、私は考えています。しかし、コロナ禍において話題になっているように、将来社会に出て一番必要になるのは、この「力」なのです。大学や社会で直面する問題は「正解」や「模範解答・解説」が用意されている問題・課題ではありません。そこでは、自分の力で考え、解決していくことが求められるはずです。いま学んでいるのは、単に中学受験に合格するためだけではなく、将来のためであると考えるならば、「見たことない問題」に対して果敢に立ち向かい、その「力」を伸ばしていきたいところです。


さて、お子様は「見たことない問題」に直面したときに、どのように対処していくタイプでしょうか。「知らないからできない」「習っていないから無理」とあきらめてしまうお子様も中にはいらっしゃいます。というよりも、初めてそういう事態に出くわせば多くの場面で、そういう考えが浮かんでしまうはずです。ただ、そこから「難しそうだけどちょっと考えてみようか」と進むためには、やはり経験が必要になってくるはずです。「初めて見た問題だけど、ちょっと考えてみたらできた」という成功体験を積み重ねることが重要なのです。そこにおいては「教わってできた」という体験ではなく、「自分で考えてできた」というようにお子様が感じられることが一番のポイントになってきます。


早稲田アカデミーでは、秋から冬にかけては各学年で「総合力を試すテスト」が行われます。11月の「全国統一小学生テスト」、さらに「冬のチャレンジテスト」や「学力診断テスト」などが予定されています。これらのテストをご受験いただいたときには、単に得点・成績結果だけではなく、お子様がどのような姿勢で問題に取り組んだのかという視点でご覧いただくのがよいでしょう。テストが終わったときに、「どうだった?できた?」という問いかけだけではなく、「見たことがない問題はあった?どんな風に考えた?」というような声かけをしていただき、お子様がどのように問題に立ち向かったのかを確かめてください。

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