四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『筆箱を忘れちゃいました…』

2025.04.04

低学年の教室に入っていったときに、たまに生徒から「筆箱を忘れちゃいました」という言葉を聞くことがあります。その言葉を聞くと、ちょっと意地悪に「だから、どうするの?」と聞き返します。生徒は先生に判断してほしいと思っているのでしょう。ただ、やはり失敗をしたときにどう解決するべきかを自分で考えられるようにもなってもらいたいと思うのです。いろいろな答えがあります。「貸してください」「友達に借りていいですか」など。


早稲田アカデミー各校舎の受付には、「貸出用文具」がいくつか用意してありますので、「事務に行って借りてきなさい」と話すと、安心した顔をしてくれます。さて、受付にいった生徒はどのように話すのでしょうか。また同じように「筆箱を忘れちゃったんで……」という感じで切り出す生徒が多いように思います。ただ、しっかりと「筆箱を貸してください」という意思表明ができることが必要だと思います。


「筆記用具を忘れたので、ペンを借りられませんか?」という表現は、外国人が日本語を学ぶときに、とても難しいと感じると聞いたことがあります。以前、外国人向けの日本語学校で教えている先生と会話したときの話です。


ペンを貸してほしいとき、日本語ではいくつかの表現があります。
「ペンを貸してください」
「ペンを借りられますか」
「ペンを借りられませんか」


いずれも「ペンを貸してほしい」という同じ意味ですが、微妙にニュアンスが違うのは日本人であれば理解できることでしょう。自分の要望を直接伝える「貸してください」という表現よりも、「借りられますか」と相手に「お伺い」を立てる表現の方が、「丁寧」な感じを与えます。相手の意思を確認するという表現なので、そういうニュアンスが付加されるのだと、私は考えています。


しかし、ここで「借りられませんか」という、日本人的には「より丁寧」な言い方になると、とても難しくなってくるのです。文法的には「借り(動詞)」「られ(可能の助動詞)」「ませ(丁寧の助動詞)」「ん(打消しの助動詞)」「か(疑問の助詞)」となります。このままの意味を「直訳(?)」すると「借りることはできない」ということを確認するような表現になってしまいます。もしくは「借りられないのですか?」という少し相手を非難するようなニュアンスにもなってしまうのです。


「ペンをお借りするというのは、とても申し訳ないことですので、借りられないのはいたし方のないことだとは思うのですが、なにとぞ貸してください」というようなニュアンスを伝えたい表現なのだと思います。ある意味とても日本的な表現だと思うのですが、この辺を理解するのが、外国の方にとっては難しいのでしょう。


外国語を習得するときには「文化」も理解しなければならない、という話を聞いたことがあります。単純に単語や文法を理解するだけではなく、その背景となる文化も理解しなければ、本当の意味で言語を使いこなせるようにはならないというような話でした。外国人にとって、日本語は間接的であったり、回りくどく感じられたりという表現が多いようです。また「省略」が非常に多いのも日本語の特徴です。特に日本語の会話では、相手との関係性を基盤にして言葉が使われることが多くあります。「ペンを借りられますか」という表現でも、正確には「私は(あなたから)ペンを借りられますか」というように主語を補うことが必要でしょう。聞いている相手が「どのようにとらえるか」という一種の「信頼関係」の中から表現が選ばれている、そんな風に感じています。

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