『読解力が国語の基盤』
2025.03.07
進学塾では2月から新学年に切り替わります。このタイミングから、新しく通塾を始められた方も多いと思います。通塾を始めてから、いろいろと「悩み」も出てきているのでないでしょうか。特に家庭学習に取り組んでいるお子様の様子をご覧になりながら、「これでいいのかな……?」とお感じになっていらっしゃる方も多いと思います。「悩み」や「不安」がある場合は、お通いの校舎にご遠慮なくご連絡ください。細かいことでもかまいませんので、担当講師までご相談いただければと思います。
この時期には「国語の学習法がよくわからない」というご相談をいただくことがあります。「算数は、まず問題を解かせて、手が止まったらヒントを与えればいいけれど、国語はどんな風に学習していけばよいのだろうか」というご相談です。中学受験に向けた学習においては、小学3・4年生で国語力の基盤をつくることが必要で、この時期に伸ばしていくべきなのは、間違いなく「読解力」となります。漢字や語句知識も、語彙力も必要なのですが、まずは「文章を読んで理解する力」を育むことが大切なのです。
国語の読解力の基本は、もちろん文章に書かれている内容を理解することです。文章内容を理解するためには、頭のなかで「文章を組み立てること」が必要になります。塾のテキストやテストに取り組んでいるときは、「問題を解くために読む」という意識が強くなり、「答えを書こう」という気持ちが先に立ってしまって、この「頭のなかに文章の全体像を構築する」点がおろそかになってしまうことがあります。それが高学年になって、国語が苦手になってしまうケースの原因のひとつとなることもあるのです。
小学校低学年から中学年までは「読み聞かせ」という手法が効果的であるといわれます。私も小学3年生の国語の授業では、「文章を読み聞かせる」という手法をとることがあります。読み聞かせた文章の内容をどれくらい「頭のなかで構築できるか」を確認するためには、「読み聞かせ」という手法が効果的なのです。テキストはあえて閉じさせたまま、しっかりと聞かせることで「授業を受けるときの集中力を高める」という効果もあります。
物語の「読み聞かせ」のねらいは、細かい部分よりも「あらすじ」を理解することです。特に小学3・4年生ごろまでであれば、細部よりも全体をとらえる思考を養う時期ですから、この手法が効果的です。ご家庭でも、物語を読み聞かせたあとで、登場人物やあらすじについていろいろと質問をすると、文章内容がどれくらい理解できているかを試すことができるはずです。
次に、自分で文章を読ませるときには「音読」と「黙読」のどちらがよいのでしょうか。「音読」にはさまざまな効果があります。文章を読むことに集中させる、声を出すことで元気になりやる気も生まれる、会話文などは感情を込めて音読することで心情理解につながる……などです。特によくいわれるのは、自分の声を自分で聴くことにもなるため、単に目で追いかける「黙読」とは異なり、より集中して脳が活性化するというものです。また、「音読」がうまくできるようになれば文章を読むことそのものに自信が生まれる、さらに保護者の皆様が聴くことによって思わぬ「つまずき」に気がつく……というメリットもあります。国語が苦手な生徒が「音読」をすると、助詞(て・に・を・は)を間違えることが多いのですが、それを矯正していくと、国語の成績が上がってくることがあります。
一方で、気をつけなければならないのは「音読」をしているときに「正しく読む」ことだけに注意が向いて、字面だけを追いかけてしまい、文章内容の理解にまで至っていないことがある、という点です。「音読」をさせたあとに「何が書いてあった?」と聞いてみると、わかるはずです。同じような文章を読み聞かせたときと比較して、理解度が低くなってしまうことが往々にしてあります。文章全体をしっかりと理解する……つまり「読解力向上」だけを考えると、「音読」よりは「読み聞かせ」の方が効果のあるケースもあります。
もちろん、最終的には「黙読」をしながら文章全体を頭のなかに構築し、さらに細部にも注意が払えるような読み方が必要になってきます。「黙読」をしているのに、頭のなかでは「音読」をしているような状態で、その結果何にも頭に残っていない……そんな読み方にならないようにしてあげなければなりません。そのためには、いまお子様がどのように文章に触れているかを確かめて、その段階で一番効果的な読み方をさせていくことが大切なことなのだとお考えください。
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