四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「本気でやる子を育てる」授業とは』

2025.04.16

前回の記事で、早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を実践していくためにはどのようにするべきか、どう生徒に接していけばよいか、それを常に考えている……ということを書かせていただきました。今回は、そのなかでも特に生徒指導の根幹となる授業について、少し詳しく触れさせていただきます。


当たり前のことを言うようですが、「学習に対する本気、やる気」を引き出すためには、まず何よりも「わかりやすい授業」であることが大切だと思っています。先生の教え方がわかりやすければ、生徒たちはその授業に引き込まれていきます。「真剣に、本気で」授業を聞くようになってくれるわけです。そして、授業がわかりやすければ、家庭学習にもやる気を持って取り組んでくれるはずなのです。


以前にも書かせていただいたのですが、「やる気をつくる」ためには四つの感覚が必要になります。そのなかに「その行動が自分で(独力で)できる」という感覚があります。宿題の問題一つをとってもおわかりいただけると思います。「自分には無理そうだ」と思ってしまえば、その問題に真剣に取り組む気持ちにはならないでしょう。逆に授業のなかでしっかりと理解できていれば、「よし、やってみよう!」という気持ちになるはずです。


では、「わかりやすい授業」をするためにはどうすればよいのでしょうか。前回の記事では、「あいさつ」「登塾時の声掛け」を通して、生徒のなかに「今日の授業も頑張ろう!」という気持ちをつくることが必要と書かせていただきました。生徒が真剣に授業を受ける「心の準備=レディネス」という観点です。


もちろん、生徒だけでなく講師にも「準備」が必要です。我々は「授業準備」と呼んでいるのですが、授業をどのように進めていくのか、テキストのどの問題を扱うのか、どのような切り口で解説をするのか……などなどを事前に考えるわけです。そして、そのときに一番大切なのは、「テキストに書かれている内容」「テキストに載っている問題」「模範解答に書かれている解き方」から考えるのではなく、教えるべき対象となる「生徒」を意識して考えることです。同じテキストでも、クラスによって扱うべき問題や教え方は異なります。「基本部分の確認をして、そこから先は自分で考えさせる」という手法が必要なクラスもあれば、「基本事項から解き方まで丁寧に教えたうえで、反復演習をさせる」ことが大切になるクラスもあります。特に小学生の場合、それは単に成績の上下ではなく、「これまでの学習環境の違い」や「精神的な成長段階の違い」による部分も大きいので、そこを見極めて準備することが必要になるのです。この点について、私は新人講師の研修では、「授業準備のスタートラインは、テキストではなく、生徒から考える」と伝えるようにしています。


そして、事前の準備ももちろん大切なのですが、それ以上に大切なのは、授業中にしっかりと生徒の顔を見て教えるということになります。授業中に「先生、今のところをもう一度説明してください」と挙手をする生徒はまずいません。「わかりやすい授業」に最も重要なのは、生徒の顔を見ながら「解説をしている内容をきちんと理解できているか」を判断しながら進めることだと、私は考えています。


2020年、コロナ禍で学校が一斉休校となりました。早稲田アカデミーでも一時期は対面授業が中止となり、Zoomを使ったオンライン授業のみの実施となりました。さまざまな点で工夫をし、かなり効果も高かったのですが、私が一番苦労したのは、「生徒の顔を見て、理解しているかを確認しながら、授業を進める」という点でした。そのときには、「どうかな、今のところわかるかな?」という問いをたくさん投げかけていたような記憶があります。生徒たちにも、「タブレットのなかの君たちの顔が小さいから、なるべく大きくうなずいてね」と呼び掛けてもいました。


「教える」「説明する」ことに熱中しすぎると、聞いている相手に意識が向かなくなってしまうことがあります。ご家庭でも、お子様が質問をしてきたときに、教えることに気持ちが行き過ぎて、お子様が理解できているかに注意がいかなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。そんなときは一回手を止めて、そこまでの説明が理解できているかを確認していただくのもよいと思います。

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