『やる気につながる4つの感覚②』
2017.10.27
前回の記事の続きとなります。
前回の記事では、「やる気(内的モチベーション)をつくるために、必要な4つの感覚」をご紹介いたしました。今回はその「4つの感覚」を、より具体的に考えていきたいと思います。
まず、もう一度「4つの感覚」をご紹介させていただきます。
①その行動に「意味がある」と思えること
②その行動を「自分で選択している」と思えること
③その行動によって「進歩している」と思えること
④その行動を「自分でできる」と思えること
実際の「中学受験に向けた学習」の話に入る前に、「習い事」を例に考えてみることにしましょう。たとえば、ピアノを習っているお子様をご想像ください。まずピアノを習い始めたきっかけはどこにあるのでしょうか。「兄弟が習っていて自分もやってみたいと思い始めた」というのであれば、上記の②「自分で選択している」という感覚はクリアされるはずです。また、習い始めのころはどんどん上達していくはずですので、③「進歩している」と④「自分でできる」という感覚も得られるでしょう。さて①の「意味があると思える」かどうか、についてですが、幼児期から低学年(小学校3年生くらいまで)であれば、「上手く弾けた」ことを親にほめてもらうということが、子どもにとっては「大きな意味」になるのです。ここまでの段階では、「4つの感覚」のすべてがクリアされているので、ピアノを習う・練習するということに対して、高い「内的モチベーション」を維持できているはずです。つまり、「楽しくやる気を持って」取り組めていることでしょう。
ところが、だんだんとそのモチベーションは低下していきます。まず①において、「親にほめてもらいたい」という気持ちが成長とともに薄れていきます。代わって目的となるのが「発表会」です。「次の発表会でうまく弾く」という目的が「意味」を持ってくるわけです。ただ、その「意味」も小学校高学年になってくると、薄れてきてしまいます。「別にピアノが上手くなったからといって……」「ピアニストを目指しているわけでもないし……」、そんな風に考えてしまう時期がやってきます。
さらに、③と④の感覚も薄れてきます。課題曲や練習曲が難しくなってくると、まず④「自分でできる」とは思えないようになってきます。また難しい曲だと、なかなか③「進歩している」という実感も得られなくなってくるわけです。①・③・④の感覚のうち、どこが低下しているのかは、人によって違いますが、結果として「やる気」はなくなり、練習に集中できなくなり、ピアノのレッスンにも行きたくなくなる……、というような「連鎖」が生まれてしまうわけです。
さて、本題である「中学受験へ向けた学習」に対する「やる気」について考えてみましょう。
実は、子どもたちは①「意味がある」という感覚はそれなりに持っているものです。「勉強は大切だ」ということはわかっているのです。ただ、中学受験へ向けた「難しい」学習に意味があると感じさせるためには、やはり志望校という目標をしっかりと持たせることが大切になります。進学したいと思える学校が自分の中にしっかりとできることで、①「中学受験へ向けた学習の意味」そして②「中学受験を自分が選択している」という感覚」につながるわけです。私は、低学年から中学年の保護者会で「小5・小6の本格的な受験学習に入る手前までに、目標となる学校をしっかりと見つけておいてください」といつもお話ししているのですが、ここの部分の意味合いが一番大きいとお考えください。
さらに、③「進歩しているという感覚」・④「自分でできるという感覚」の2つが「学習に対するやる気」を維持していくためのポイントです。この2つの感覚は、親が意識してコントロールすることが大切です。
本来はこのテーマでの記事は2回で完結の予定だったのですが、書いているうちにお伝えしたいことが増えてきてしまいましたので、③・④の感覚をご家庭でコントロールする具体策に関しては、次回の記事で書かせていただきます。
- 2017.10.27 『やる気につながる4つの感覚②』
- 2017.10.25 『やる気につながる4つの感覚①』
- 2017.10.20 『中学受験に向いていない……?』
- 2017.10.18 『モチベーションコントロールとメンタルケア』
- 2017.10.13 『見たことがない問題』