『中学入試の基礎知識③ ~「基礎から学べる中学入試報告会」より~』
2018.03.20
先日おこなった「基礎から学べる中学入試報告会」でお話しした「中学入試の基礎知識」の内容をご紹介させていただいております。今回で最終回となります。
前回の記事では、精神的に成長している段階にある小学生にとって一番必要なのは、「ひとりで真剣に学習に取り組むこと」とであるとお話しさせていただきました。授業中に真剣に聞かせるのは講師の役割ですが、そこでは教わった内容が「わかる」という段階でとどまります。しかし、実際に「わかった」学習内容を「できる」ようにするためには、「自分の力で真剣に取り組む」ということが不可欠です。ただ、「ひとりで」真剣に考えるというのは、小学生にとってはなかなか難しいことなのです。
家庭学習において、「真剣に」取り組める環境を用意するのは保護者の皆様の重要な役割となります。最難関校に合格した生徒のお母様から以前うかがったお話で印象に残っているものがあります。お子様が「家では集中できないので、図書館で勉強したい」と言い出したそうです。確かに家には兄弟がいるので騒がしいときもありました。そこで図書館なら静かで集中できると思い、送り出したそうです。お子様が出掛けてから少し経ってから机の上を見ると、今日やらなければならないはずの課題が置いたままになっていました。お母様は、課題を届けてあげようと図書館に向かわれたそうです。図書館に着き、机に向かうお子様の姿を見つけて近寄ってみると、そこには図書館にある漫画を積み上げて読んでいるお子様の姿が……。この話からもわかるように、小学生が自習室や図書館で、100%勉強に集中して取り組むのはなかなか難しいと思います。
さて、小学生が一番真剣に問題に取り組むのはいつでしょうか。私のイメージでは、授業中に問題を解かせているときは真剣度70%、家庭学習では50%、その程度だと思います。家庭学習での真剣度が70%を超えるようになれば、成績はかなり向上していくと思われます。しかし、授業や家庭学習では、その程度の真剣度であるため、自分ではまだ「できない」問題が「できる」ようになるという「階段を上がる」のには不足しているのです。
実は、小学生が100%の力で問題に取り組むのは、「テスト」を受けているときなのです。授業でも家庭学習でも真剣さが足りないひとつの要因として、「依存心」が挙げられます。「できなければ先生に(お母さんやお父さんに)教えてもらえればよい」という気持ちが、小学生の中には必ずあるものです。問題を読んで少し難しいと感じたら、もう一歩踏みこんで考えれば「できる」はずなのに、そこで考えるのをやめてしまうことが多くあります。しかし、この「もう一歩」が、できるようになるための「大きな一歩」なのだとお考えください。
誰しもがテストで「よい点数」を取りたいと思っているはずです。ただ、テストを受けている間は誰にも頼ることはできません。自分ひとりで考えるしか方法はないのです。「難しい」と感じた問題でも、真剣に考えてみる、その考えている瞬間にお子様は階段を一歩上っているのです。たとえ、その難しかった問題が解けなかったとしても、「真剣に考えた経験」によって、成長をしていくのです。
早稲田アカデミーでは、小学校4年生から毎週土曜日に、その週に学習した単元のテストを実施する「土曜YT講座」をおこなっています。このテストは、真剣に問題に取り組むことで、一週間の学習内容を「定着」させる効果があります。ぜひご活用ください。
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