『質問の仕方』
2018.04.20
先日、小学校5年生の生徒が算数の質問にきました。「A店とB店では同じ品物を同じ個数仕入れました。A店では1個につき120円の利益が出るように定価をつけましたが、仕入れた個数の7割しか売れなかったため、残りは定価の2割引きで売ったところ、全体の利益は9600円になりました。B店では……」という「売買損益」の問題でした。「複雑な問題だから、まずは表に整理してみよう」と話し、表を書き始めたのですが、その瞬間「わかった!あとはやってみる!」と私が書いた紙を手に自習室に戻っていきました。少し時間を置いてから自習室を覗いて「さっきのは?」と尋ねたところ、「できた!」と笑顔で返してくれました。
とても「よい質問の仕方」、というよりも「よい質問の聞き方」だと思いました。その生徒は、ある程度真剣に問題に取り組んでから質問にきたのでしょう。ただ、かなり難しい問題でしたので、そのときはどこから考え始めればよいかが分からなかったのだと思います。そして解説を聞いているうちに、頭が回転していったようです。
一方で、「よくない質問の仕方・聞き方」というのもあり、多くの小学生がそちら側です。「なんか難しそうだな」と思ったら、自分で真剣に考えることをせずに、質問をして「解決」しようとしてしまう生徒がいます。そういった場合、私は少し「いじわる」をしてしまうことがあります。 私 「質問はどこ?」 生徒「この問題……」 私 「この問題のどこがわからないの?」 生徒「う~ん……全部……」 私 「どんな問題だったか覚えている?」 生徒「……わからない……」 そんなやり取りをするわけです。そして「もう一回ちゃんと考えてごらん。君だったらできる問題だよ。ヒントは……線分図!」という一言だけ伝え、自習室に向かわせます。しばらくたって声を掛けると、「線分図書いたら、できた!」という答えが返ってくることがほとんどです。
残念ながら、質問にくる段階では「真剣」に考えていなかったのでしょう。たぶん、その状態で質問に答えてあげても、自分で解けるようにはならないのです。先生が目の前で解いているのを「なんとなく」見ているだけで終わってしまうでしょう。そして「自分で解決する」のではなく、「誰かに解決してもらう」という学習スタイルを身につけてしまうのです。
小3・小4の段階では、ご家庭でお父様やお母様に質問をすることも多くあると思います。もちろんお答えいただくのは問題ありませんし、その場で解決してあげることが必要な問題(特に算数の計算系の問題など)もあるはずです。ただ、お父様やお母様が「代わりに解いてあげる」というような対応にならないように、ご留意ください。
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