四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『たんぽぽのような人』

2018.11.28

言葉のイメージを正しくつかみ、広げていくという感覚は国語の学習を進めていくにあたって、非常に重要なポイントになります。説明的文章(説明文や論説文)では、言葉を筆者の意図しているように理解・把握することが大切ですが、文学的文章(物語文や詩)では、そのイメージをしっかりとつかむことが必要になってきます。


「たんぽぽのような人」という表現があります。大人であればすぐにイメージできる言葉ですが、小学生にとってはそのイメージをつかむのはなかなか難しいと思います。授業で扱うときには、他の花と比較して考えてもらうこともあります。同じ花でもイメージが違う「ひまわり」などを例に出しながら、「共通点は何?」という質問からスタートします。「黄色い花」「よく見かける」などの答えが返ってきますが、その時点で生徒たちの頭の中には、「相違点」も意識され始めています。「花の大きさ」「咲く季節」「咲いている場所」……。さらには、生徒たちがイメージしやすい人物像を持ち出すこともあります。


「たんぽぽとは□□の花だから、△△のような人を指しているんだよ」と言葉で教えてしまうことは簡単です。しかし、そうすると「たんぽぽのような人というのは△△な人なんだ」という知識にはつながるかもしれませんが、そこで止まってしまいます。他の言葉が出てきたときに、自分でイメージができるようにはならないのです。


秋は「空が高く」感じるといわれることがあります。以前、小4の生徒たちに、『秋の空が高いのは知っている?』と聞いてみたのですが、残念ながら、ちょっと不思議そうな顔をされてしまいました。


『空はいつでも高いよ……』

『夏とあんまり変らないよ……』


なんていう感じの答えも返ってきたのですが、『そんなことないよ、ちゃんと晴れた日に空を見てごらん』という話をしました。


ここからは理科の話になるのですが、秋に空が高く感じられるのにはいくつかの理由があるそうです。ひとつには空気の中の水蒸気が少なくなるので、「空気が澄んでいる」ため、空の青さが濃く見えるのだそうです。もうひとつは夏と比べると、上昇気流が弱くなるので、入道雲のような地面から近い雲ではなく、空の高いところの雲が多くなるからだそうです。理科の単元でいうと地学的な内容となり、早稲田アカデミーでは小学校5年生で詳しく学習する内容になります。


中学入試問題でも、このような身近な現象が問われる問題が出題されます。雲の話で思い出した入試問題があります。千葉県の最難関中学校で出題された問題ですが、天気予報に関しての文章があり、「きれいな夕焼けだと次の日は晴れやすい」といわれることがありますが、その理由はなにかという内容でした。簡単に解説をすると、夕焼けが見えるということは夕日がきれいに出ているということであり、日が沈む方角である西の空が晴れているということになります。日本において、天気は偏西風などの影響で西から東に変っていくので、次の日は晴れやすいということになるわけです。面白いのは、この問題は「理科」ではなく「社会」の問題として出題されていました。『自調自考の力を伸ばす』という教育目標を掲げられている学校らしい出題だと思った覚えがあります。


「空が高い」のような表現のイメージをつかむためには、自分自身が実際に感じることも必要なはずです。「たんぽぽ」でも「秋の空」でも実際に見たことがなければ、イメージをつかむことなどできるはずがないのです。つまり、その言葉を聞いたときに『たしかにそうだな』と思えるかどうか、そのためには普段からそういう感性を磨くことが大切になってくるわけです。机の上でテキストとノートを広げて学習するだけではなく、日常の生活の中で物事を「しっかりととらえ」「考えていく」、そんな毎日を送ってほしいと考えています。

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