『「やりたいこと」と「やるべきこと」』
2018.12.12
師走です。私もバタバタと忙しい毎日を過ごしています。毎週月曜日には、手帳を見ながら2週間程度の詳しい業務予定を立てるのを習慣にしているのですが、今年も残り3週間となってしまったことに気付き、急に気持ちが焦り始めました。年が明けると受験シーズンになります。世間で「年末年始」といわれる時期は、受験生にとっては「入試直前期、最後のまとまった学習ができる時期」となるわけです。私も、担当している受験生たちが充実した「冬休み」を過ごせるように、準備を進めているところです。合格可能性判定模試でなかなか結果が出ていなかったり、入試の過去問で合格点を超えられなかったりして、不安や焦りが募ってしまう受験生も多いのですが、まだまだここから伸びていくのが12歳の生徒たちです。この直前期をどのように過ごすかで、自信を持って志望校の入試に臨めるかどうかが決まります。生徒に「やりきった」と思ってもらえるように、私自身もやりきるつもりでいます。
さて、今回は小学3年生から4年生くらいのお子様の「やりたいこと」と「やるべきこと」の切り替えについて書かせていただきます。
たとえ「やりたいこと」があったとしても、「やるべきこと」があればそれを先に終わらせる。こういった物事の「優先順位」をきちんとつけて、それを守ろうとするのは大人の感覚でしょう。なぜそれができるのかというと、「そうしなければどうなるのか」が大人はわかるからです。後で苦労するよりは、先にやっておいた方が心情的に楽になるから、ということもあるかもしれません。一方で、子どもの場合は、宿題があっても友だちが誘いに来れば遊びに出かけてしまう、見たいテレビ番組が始まれば宿題の手が止まってしまう、というように、やりたいことを優先してしまうのが普通です。
友だちとの約束があって遊びに行こうとしているお子様に、「宿題を終わらせてからにしなさい」と声をかけ、机に座らせたらどうなるでしょうか。たぶん、集中できず、頭も手も動かず……という状態になってしまうのではないでしょうか。小学生の場合、「やりたいこと」と「やるべきこと」をきちんと頭の中で整理し、「やりたいこと」を頭の片隅に追いやって、「やるべきこと」に集中するというのはなかなか難しいことなのです。
読書がとても好きな生徒がいました。本を読んでいるときに、家庭学習の時間になったのでお母様が声をかけたところ、「もうちょっと、もうちょっとだけ読ませて……」ということが何度かあった、と相談を受けました。学習計画表に沿ってしっかりと学習を進めさせたい場合には、「学習のスタート時間を守らせる」ことはとても大切です。そういった点から考えれば、このケースは「ダメ!すぐに始めなさい!」というのがお母様の正しい対応となります。
ただ、「学習効果」を優先するのであれば、これは少々大目に見てもよいケースだとも考えられます。「いまどこまで読んでいるの?きりのいいところになったら勉強するのよ」という答えがあってもよいわけです。本の続きが気になって宿題に集中できないとしたら、本末転倒になってしまうからです。もちろん、これは本当に読書に引き込まれている、というのが前提です。場合によっては、勉強にとりかかりたくないから「もうちょっと」と言っている場合もあるはずなので(実際にはその場合が多いかもしれません)、そのときには「きちんと計画表に書いてあるでしょ!」と厳しめに声をかけていただければよいと思います。
一方で、小学5年生からは、「やりたいこと」よりも「やらなければならないこと」を先に片付ける、という方向に少しずつ向かわせていくのがよいでしょう。ある程度の「計画性」が身に付いてくれば、「今やらなければ後で自分が困る」という意識も芽生え始めるはずです。そのタイミングで「自制すること」を意識できるようになれば、成長の段階を1つ上ることになります。私はそこからが、本格的な「中学受験へ向けた道のり」のスタートだとも考えています。
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