『クリスマスマーケット』
2018.12.14
先日、「ユズリハ」という記事でお正月のことをテーマに書いていますので、その後にクリスマスの記事はどうかとも思ったのですが、毎年この時期にはクリスマスの話題を取り上げていますので、今年も書かせていただくことにしました。
最近、シュトレン(シュトーレン)という菓子パンを日本でもよく見かけるようになりました。クリスマスの時期にヨーロッパ(主にドイツやオランダなど)で食べられているパンです。先日、コンビニエンスストアでも見かけました。日本のクリスマスはどちらかというとアメリカの色合いが強いと聞いたことがあります。クリスマスツリーの飾りつけやクリスマスケーキなどは、アメリカから入ってきているものが多いようです。一方でシュトレンはヨーロッパ的なクリスマス文化です。
短い期間ですが北欧で過ごした経験があるので、なんとなくヨーロッパ風のクリスマスに惹かれたりします。ヨーロッパと大くくりにするよりも、ドイツ風のクリスマスといった方がよいかもしれません。どちらかというと「落ち着いた感じ」のするクリスマス飾りです。「派手」というよりも「暖かい感じ」のするイメージでしょうか。
ドイツのローテンブルクという街をご存知でしょうか。中世の街並みが残っている街として、ドイツではノイシュヴァンシュタイン城と並んで日本人には人気の観光地です。この街に、一年中クリスマス用品を売っている「ケーテ・ウォルファルト」というお店があります。私が最初に訪れたときは真夏だったのですが、小さな扉を開けて一歩店内に入ると、中は広い空間で、その真ん中に大きなクリスマスツリーが飾られていて驚きました。売られているのはツリーのオーナメントやクリスマスカードなどなど、全てがクリスマスに関連した商品でした。もちろん宗教的な背景もあるのだと思いますが、「クリスマス」という行事が大切にされていることを感じました。
最近、日本でも行われるようになった「クリスマスマーケット」もドイツが発祥のようです。ご紹介した「ケーテ・ウォルファルト」も日本のクリスマスマーケットに出店しているようです。アメリカ風のものとはちょっと趣が違うクリスマスツリーなどがありますので、ご興味のある方はちょっと覗いていただくのもよいかもしれません。電飾よりも木で作られた、ちょっと温かみのある雰囲気だと、個人的には感じています。
さて、ここ数年のキーワードとして「グローバル化」があります。2020年東京オリンピックもきっかけのひとつだと思いますが、それ以上に、これからの社会ではさまざまな国の人と協力していく必要があることが予測されているからだと思います。ちょうど先週、スウェーデンではクリスマス前の「ノーベル賞ウィーク」でした。ノーベル医学生理学賞を受賞された本庶佑教授のニュースのなかで、本庶教授が研究チームと一緒に、受賞を喜ぶ記念写真が紹介されていました。その研究チームにもさまざまな国籍(と思われる)の人々が写っていました。「一人の天才が成果を出す時代」は終わり、「高い能力を持った個が集まったチームとして成果を出す時代」になってきているという話を聞きますが、そのチームも日本人だけではなく、国際的な、まさに「グローバル」なチームになっているわけです。そして、国際人として活躍するためには、単に他国語が使えるというだけではなく、他国の文化を理解し許容していくことが大切なのだと、私は考えています。
「クリスマス」「お正月」のように、全世界で行われているような行事は、それぞれの国の文化を理解していく「きっかけ」になるように思います。「この国のクリスマスツリーはこういうものなんだ!」と思うことが、小学生や中学生が「外国」に興味を持つことにもつながるのではないでしょうか。小学6年生が受験を終えて卒塾をしていくときに、「中学校に入って、英語を得意にするためにはどうしたらいいですか」というご質問をいただくことがあります。その質問に対して、「アメリカ映画を見るようにしてください」とお答えすることがあります。英語を勉強する、というところからスタートするよりも、英語が日常的に使われている場面を見て、さらには英語文化に触れるところから始めるというイメージです。「クリスマス」が舞台となっている「アメリカ映画」の中には、お子様が楽しめるものもたくさんあります。『ホーム・アローン』とか『グレムリン』もそうです。今年のクリスマスにはお子様と一緒にそんな映画をご覧いただくのはいかがでしょうか。
以前、ベトナムのホーチミンにクリスマスシーズンに行ったことがあります。気温30度の中でも、クリスマスツリーには綿でつくられた雪が飾られており、サンタクロースは赤いファー付きのコートを着ていました。現地の方に「雪は見たことがあるのですか?」と尋ねたら、「本物は見たことがない」と……。
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