『広い視野を持つ、全体を俯瞰する』
2020.09.25
9月の後半になって急に秋を感じさせる日が増えてきたように思います。半袖では少し肌寒い日も多くなってきています。季節の変わり目、油断をすると体調を崩してしまいがちですので、お気を付けください。
私が小学生の授業をする際に気を付けていることのひとつに「小学生の視野や視点を理解して接する」というものがあります。今回はその点について書かせていただきます。ご家庭でお子様と接する際のヒントとしてお読みください。
中学受験の科目学習において、広い視野を身に付けることはとても大切です。また、そういった学習を進める中で、だんだんと身に付いてくるものでもあります。私はよく「全体を見なさい」とか「全体像をとらえて考えなさい」と生徒を指導することがあります。広い視野を持つためには、まず「全体をとらえる意識を持つ」ところから始めなければなりません。
国語では文章の全体が見えていないと、要旨や主題といった大切な問題には対応できません。説明文で文章の初めに出てきた具体例に気を取られて、話題や筆者の結論部分を読み違えてしまう生徒がいます。物語文でも登場人物の背景をとらえられていないために、心情がつかみきれないということもあります。もちろん、読解力という要素につながる部分でもあるのですが、「全体をとらえる力」が未熟だと言うこともできます。
算数でも、複雑な図形の問題などは全体をしっかりととらえられなければ、効果的な補助線を引く場所を見つけることができません。結果としてむやみやたらといろいろなところに線を引いて、より複雑にしてしまうことにつながってしまいます。また算数の難問を解くためには、問題を見て「解答までの過程」をイメージするという感覚が必要になってきますが、これも「全体をとらえる」という意識が影響してくる部分です。
理科・社会でも「全体」を把握してから、「細部」の学習に進むことが大切です。以前、歴史が苦手な生徒がいました。毎週、テキストに出てくる人名や語句、年号などはがんばって覚えてきていたのですが、テストではなかなか点数が上がってきません。歴史の学習方法についてアドバイスをするための面談で、「平安時代の前はなに時代?」と問いかけてみたところ、首をかしげてしまいました。細かいところを覚えるだけで、大きな時代の流れをつかんでいなかったので、覚えた知識がふわふわとしたままで、きちんと定着しておらず、使いこなせていなかったのです。地理でも同じことがいえるでしょう。山脈や川の名前を覚える前に、日本地図がきちんと頭の中に入っていなければ、せっかく覚えた知識も定着しないものです。
お子様が苦手な科目や苦手な単元の学習を進める際には、「広く考えられているか」「全体が俯瞰できているか」といった点をご確認いただければと思います。
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