『やる気につながる4つの感覚③』
2017.10.31
このテーマで書かせていただく3回目の記事となります。「やる気(内的モチベーション)をつくるために必要な4つの感覚」について書かせていただいておりますので、できましたら前回までの記事も併せてお読みください。
「やる気につながる『4つの感覚』」として、以下の4つをご紹介させていただいています。 ①その行動に「意味がある」と思えること ②その行動を「自分で選択している」と思えること ③その行動によって「進歩している」と思えること ④その行動を「自分でできる」と思えること 今回は、「中学受験に向けた学習」を進めるうえで大切な、③について触れさせていただきます。
進学塾の授業を受け、宿題に取り組んでいれば、お子様は間違いなく「進歩している」はずです。しかし、自分自身で「進歩している」という実感を得るのはなかなか難しいものです。その理由は大きく二つあります。
一つ目は、学習内容のレベルが上がっていくことです。たとえば、テストの点数が上がっていけば「進歩している」という実感は簡単に得られるのですが、テスト自体が難しくなっていくため、得点が大きく伸びることはなかなかありません。また、「宿題にかかる時間が短くなった」というときにも進歩が実感できるはずですが、学習内容の難化に伴い、以前よりも長い時間がかかってしまうこともあります。そうすると、「進歩している」と思えるどころか、「自分はできなくなってきている」という「誤解」にもつながりかねないのです。
もう一つは、友人やライバルも同じようにがんばっている、ということです。たとえば同じクラスで、自分よりも成績のよい友人を目標にしている生徒の場合を考えてみます。いくらがんばっても、差がなかなか「縮まらない」という状況が続けば、その友人との比較において「進歩」が実感できないということになってしまうわけです。一番わかりやすい例は「偏差値」でしょう。偏差値というのは「テストを受けている母集団の中での相対的な評価」という値ですので、同じようにがんばっている生徒たちが受けているテストであれば、その数字が右肩上がりでぐんぐんと伸びていく、というわけにはいきません。「数字」が伸びなければ、「進歩している」という実感はなかなか得られないのです。
前述した通り、授業や宿題に真剣に取り組んでいれば、お子様は必ず「進歩」しているのです。そして、それをお子様に実感させてあげることが、我々講師と保護者の皆様の非常に大切な役割といえます。小5の授業の中で、たまに「この問題は4年生のときに出てきたけど、覚えている?」というような話をすることがあります。「一年前には難しく感じた問題が、今は簡単に解ける」ということから、自分自身の「進歩」を実感してもらいたいのです。また、「前は必ず一つか二つ間違えていた漢字テストで、最近は満点がとれるようになったね」というように、以前と比較しながら評価してあげるようにもしています。
上記の例からおわかりいただけるように、「進歩」を実感させるためには、「以前の自分」との比較をしてあげることが効果的です。保護者の皆様も、一年前・半年前のお子様を思い出していただくと、お子様の「進歩」が感じられるのではないでしょうか。
どうしても「やる気を引きだす」というテーマに関しては、長くなってしまいます。申し訳ありませんが、④「自分でできるという感覚」については、次回に触れさせていただきます。
- 2017.10.31 『やる気につながる4つの感覚③』
- 2017.10.27 『やる気につながる4つの感覚②』
- 2017.10.25 『やる気につながる4つの感覚①』
- 2017.10.20 『中学受験に向いていない……?』
- 2017.10.18 『モチベーションコントロールとメンタルケア』