『雪が解けたら…… ~文系と理系①~』
2019.07.12
先日の新聞で、小学生の親の7割が子どもを「理系の大学」に進学させたいと考えているという記事を読みました。その背景には「理系の方が就職の時に有利になる」という考えがあるようです。
理系・文系という話で思い出したのですが、以前「雪が解けたら何になる?」という質問に対して、「水」と答えるのが理系、「春」と答えるのが文系、そんな話を聞いたことがあります。なんとなくわかる気もするのですが、たぶんこれは「たとえ話・笑い話」のひとつでしょう。私はどちらかというと文系タイプですが、即座に「水!」と答えました。
さて、中学入試では、「国語・社会」と「算数・理科」が、文系・理系にそれぞれ分類されるでしょう。「国語・社会」と「算数・理科」で成績に違いが出る生徒が多いのも確かです。ただ、それはそもそものタイプというより、興味・関心が向く方向のようにも思うのです。例えば、算数が得意な生徒が、歴史に興味を持っていて社会も大好きというケースもあるのです。たまに「両親とも理系なのに、なんで算数が苦手なんでしょう?」そんなご相談をいただくことがあります。確かに文系・理系という部分においては、遺伝的な要素もあるような気がします。生物学的な「遺伝」の要素なのか、ある種後天的な環境が左右するのかは、専門家ではありませんのでよくわかりませんが、ご両親と同じ職業を選ぶ子どもが、一定以上の割合でいるという点を考えても、親の影響があるというのは確かなようです。
では、親が得意だった科目なのに、子どもは苦手という現象はどうして起こるのでしょうか。1つには、その科目の学習能力が高くても、その能力がどの程度開発されているかによって、「得意・不得意」は決まってくるものだと考えています。本来は「文系」で、国語の能力は高いはずなのに、国語の学習が効果的に行われていなければ、その能力は開発されないわけです。それぞれの子どもが持っている学習能力は、中学入試のそれを大きく超えるもののはずです。ただ、12歳までに開発できるのは、本来持っている学習能力のある部分までのはずですから、その開発度合いによって、「本来は理系のはずなのに、算数が苦手」というようなことも起こってくるのです。
私が実際に担当していた生徒でも、そういうケースはよくありました。以前、算数にとても苦手意識を持っていて、国語が得点源だった女の子がいました。志望校に合格してからも、毎年1~2回は校舎に遊びに来てくれたり、電話をくれたりしていました。その生徒は、早稲アカの大学受験部にも通っていたのですが、中学校を卒業するころから、理系科目の方が得意になり始め、最終的には理工学部に進学しました。
やはりご両親ともに理系の学部のご出身でしたので、興味がそちらに向いたのかもしれませんが、遺伝的な要素もあったのだと思います。ただ、実は中学受験の段階から、「将来は理系の道に進むかもしれませんね」とご両親にお話ししたこともあります。国語の問題でも、論理的に考える文章や設問に対しては、非常に高い力を発揮していたからです。
「理系・文系」というテーマについては、次回も触れさせていただきます。
- 2019.07.12 『雪が解けたら…… ~文系と理系①~』
- 2019.07.10 『宿題のルール』
- 2019.07.05 『子どもを叱る……』
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