『基礎から学べる中学入試』
2020.03.18
早稲田アカデミーでは今週の初めから授業を再開させていただいております。新型感染症の影響はまだまだ続いているようで、アジアだけではなくヨーロッパを中心として感染が拡大しているという報道がなされています。私自身も不安がないと言えばうそになりますが、いま私たちにできることは校舎の中で万全の対策を行い、授業に参加している生徒たちが少しでも不安を感じずに学習できる環境を整えること。そして生徒たちが授業を楽しく受けて明るく未来に向かって歩みだす後押しをさせていただくことだと考えています。
私が3月から勤務をしている武蔵小杉校でも、生徒たちは元気に登塾しはじめました。3月に赴任してすぐに休講となってしまっていましたので、生徒たちに挨拶ができていなかったのですが、授業再開となった月曜日には全クラスの授業に少しずつ顔を出して、「新しい校長先生としての挨拶」「コロナウイルスの影響もあるけれど頑張って授業を受けよう」「先生たちも換気や消毒をするから心配しないで」「みんなも手洗いやマスクなど、しっかりと対策していこう」といった話を全員の生徒にさせていただきました。生徒たちはマスク姿ではありましたが、真剣に話を聞いてうなずいていました。
東京では「桜の開花宣言」が出されてようです。生徒たちが明るい春を迎えられるように、私もしっかり頑張っていこうと思っています。
さて、新型コロナウイルスの影響で、早稲田アカデミーで予定されていたさまざまなイベントも中止・延期となってしまいました。それぞれの今後の対応につきましては、ホームページ内の該当ページにてご確認いただければと思います。私がお話しさせていただく予定になっておりました「基礎から学べる中学入試報告会」も実施することができなかったのですが、現状では4月以降に延期とさせていただいております。あるお母さまから「楽しみにしていたんです……」というお言葉をいただきましたので、今回の記事では少しだけ予定していた内容をご紹介させていただきます。
以下のような3つの構成でお話しさせていただく予定でした。
①中学入試概況 ここ数年間の受験率推移や、今年の「入試背景」などについて ②2020年入試問題から見る「求められている力」「伸ばしたい力」 今年の入試の特徴的な出題をご紹介しながら、入試で求められている力、これから伸ばしたい力について ③中学入試の基礎知識 「中学受験へ向けた学習カリキュラム」と「小学生の学習方法」について
特に「基礎から学べる」という部分においては、③のテーマで触れさせていただく予定でしたので、その点について書かせていただきます。
中学受験は「親子の入試」「家族の入試」といわれることがあります。高校受験や大学受験と比べると、保護者の皆様が関与する部分が大きいということからだと思いますが、その分、保護者がどういう形で関与するかで、その結果も大きく変わってきます。関わり方によっては、お子様のやる気が低下してしまったり、学習面においても無駄が多くなってしまったりということにつながってしまうこともあります。 お父様やお母様がイメージされる「受験勉強」は多くの場合、ご自身が高校受験や大学受験をなさったときのものではないでしょうか。中学受験を経験された方もいらっしゃるとは思いますが、そのときの記憶はその後の受験学習で「上書き」されてしまって、ご自身が小学生のときの学習内容や学習方法を覚えていらっしゃる方は少ないでしょう。私自身も四谷大塚に通い、中学受験を経験したのですが、そのときの記憶は残っていませんでした。早稲田アカデミーで小学生を指導するようになってから、実家に残っていた当時の「予習シリーズ」を探して、いろいろと思い出したのですが、それでも「どんな風に勉強していたか」という記憶までは曖昧です。さらに、ここ20年ほどで中学入試の出題傾向は大きく変わってきていますので、当時の「学習の記憶」が残っていたとしても、それほど役には立たなかったかもしれません。
保護者の皆様にまずご理解いただきたいのは、中学受験へ向けたカリキュラムはある意味「特殊」であるということです。その学齢の標準的な生徒にとっては、かなりハードルの高い学習内容です。「先生の教えてくれたことはなんとなくわかっている」という状態でも、「いざ自分で問題を解こうとするとできない」、「自分ひとりの力では解ききれない」という場合があるはずです。ここで大切なのは、そのレベルの問題を「すぐに解決しようとしない」ことです。小学校での学習に慣れているお子様の場合、もしくは中学受験カリキュラムの学習の進め方を誤解されている場合、テキストやテストで出されている問題に「正解」できないと、なんとなくの不快感を持ってしまうことがあるはずです。ただ、その点に関しては「慣れ」ていくことも必要になります。
一方で、「できない」まま進めていったら、いつまでも「できない」ままでいるようなご不安もあることでしょう。実は、その時点で「なんとなくわかってはいるけれど、自分ではできない」という問題は、必ずできるようになるのです。そこには精神的な成長・発達が大きく影響してきます。
保護者の皆様が、塾のテキストをご覧になったときに「あれ?この問題はどう解くんだろ?」と思われる問題に行き当たることもあるでしょう。そこで解説を読んでみて「ああ、こう解くのか」と理解をすると、(大人であれば)同じタイプの問題であれば、次は解くことができるはずです。ところが小学生の場合、なかなかそうはいきません。この違いは「経験」であり「成長」の差だとお考えいただければ、おわかりいただけるはずです。中学受験へ向けた学習はお子様の「精神的な成長」と同時進行だと、まずはご理解ください。そんな内容でお話しさせていただくつもりでおりました。4月以降に延期になりますと、若干内容も変えてよりその時期に合ったものにさせていただくつもりでおります。まだ予断を許さない状況ではありますが、日程や会場などの詳細が決まりましたら改めてご案内させていただきます。
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