『タイムトライアル』
2022.05.18
どんなテストにも必ず制限時間があります。 小6受験生に「入試では制限時間の中で合格点を取る必要がある」とよく話をします。制限時間の倍の時間をかければ、志望校の入試問題で合格ラインをこえることができる場合は少なくありません。しかしテストである以上、必ず制限時間が設けられていて、その時間内で自分の実力をいかに最大限発揮できるかが問われるのです。受験直前期(小6の夏以降)になれば、入試問題の時間配分の考え方、取り組むべき問題の取捨選択、といった「入試問題を解くためのテクニック」的なものも身に付けていくことになります。ただ、非受験学年の間はそういった考え方までは必要ありません。それよりも「決められた時間の中で集中して問題に取り組む」という方向でお考えください。
「タイムトライアル」という言葉をご存じの方も多いでしょう。もともとはスポーツ(自転車競技)用語のようですが、時間を計測しながら行うトレーニング、もしくは制限時間を設けてトレーニングを行うこと、というような意味で使われている言葉です。
小学生の家庭学習においても、この「タイムトライアル」を行うことをおすすめするケースがあります。最終的なゴールとなる中学入試で、試験時間内に「自分にできる問題」をやりきるために、「より効率的な方法を選択する」という視点を持たせるためにも効果的な学習方法です。さらに、小5以上になれば、必然的に家庭学習で必要な学習量も増えてきます。一週間の中で、宿題をやりきるのが大変になってくる場合もあります。そこで重要になってくるのが、「時間あたりの学習密度」です。私は小5の学習オリエンテーションで、次のような話をしています。
『昨日、Aくんは1時間勉強しました。Bくんはその倍の2時間勉強しました。どちらがエライでしょう?』 生徒たちは口をそろえて、『Bくん』と答えます。そこで、次の質問です。 『では、1時間勉強したAくんと2時間勉強したBくん、終わった量が一緒だったら、どうかな?』 生徒たちは首を傾げはじめます。
そうなのです。同じ量の学習を行い、その成果が一緒ならば、短時間で行えた方がいいのです。時間は有限ですから、与えられた時間の中でどれだけの学習量をこなすことができるかは、特に受験学年になると、非常に重要なポイントになってきます。この「時間あたりの学習量」を増やすために、低学年の間に効率のよい学習を経験させることが必要だと考えています。
もちろん、「じっくりと取り組むべき」課題もありますので、すべての学習の時間を計ったり、制限時間を設けたりするのはおすすめいたしません。一方で、毎日行う決められた課題(「予習シリーズ計算」など)については、「タイムトライアル」的な考えを導入するのはとても効果的です。初めから制限時間を設けるよりも、まずはかかった時間を記録するところから始めていただくとよいでしょう。ページの右上に「○○:○○~○○:○○」というように、始めた時間、終わった時間を書くところからがスタートです。それによってお子様自身に「今日はどれくらい時間がかかった」という意識が生まれてくるはずです。次の段階として、ある程度所要時間が定まってきたら、次に目標となる制限時間を設けるようにしていくと、お子様のやる気の向上にもつながるはずです。
早稲田アカデミーでは夏休みに、毎日学習する課題(小3「ホームワーク」など)をお渡し致します。まずはそこから時間を測って進めていただくのもよいと思います。「昨日よりも1分早く終わった!」、そんなお子様の声が聞こえてくれば成功です。
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