四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『0の次は1ではない』

2023.04.26

進学塾の学習進度(カリキュラム)は、小学校と比較をすると速く進みます。そのため、新しい知識は学校ではなく、塾で初めて習うことが多いはずです。特に小学3年生の算数は「新しい学習内容」をたくさん扱っていくことになっています。早稲田アカデミーの小3カリキュラムでは、ゴールデンウィーク明けに「逆算」「小数」など、非常に重要な単元の導入が行われます。こういった導入授業を行うときには、私も毎回少し緊張して授業に臨んでいます。


保護者会やセミナーなどでもお話しているのですが、「はじめの一歩」をどう踏み出すかはとても大切です。単に「知識」として教えるだけであれば、それほど難しいことではないのですが、その単元の「本質的」な部分をきちんと理解してもらうために、教え方を考えたり、工夫したりということが必要なのです。最初の導入段階で本質的な理解ができれば、そこから世界は大きく広がっていきます。一方で、単純な知識としての理解だけだと、そこにとどまってしまい、その先に進むときにはまた新たに「覚える」ことが必要になってしまうのです。


以前にも書かせていただいたのですが、「わり算」について学ぶときに、最初の段階で、その式の本質的な意味をきちんと理解できれば、使いこなせるようになります。しかし、そこの理解が不十分だと発展的な問題に進むことがなかなか難しくなってしまいます。「80÷5=16」というわり算には「80を5つに分けると一つは16」という意味だけではなく、「80の中に『5』は16ある」という意味があることを、理解しているかどうかで「わり算」が使える問題の範囲が大きく変わってくることはご理解いただけるでしょう。「ABCDEABCDEABCDE……と規則的に文字が並んでいます。80番目までにAはいくつあるでしょう」という周期算の問題があります。「ABCDEという5つの文字の『まとまり』が、80個目までにいくつあるかを考えてみよう」と話したときに、わり算の「後者」の意味を理解していれば、すぐに「80÷5」という式を思いつくはずです。一方でそこが理解できていないと、「周期算はわり算を使う」という知識を「覚える」ことになってしまうのです。


小3の5月末に学習する「小数」も、「導入」が重要な単元です。ここまで「整数」だけの世界で考えてきた生徒たちに、いきなり「小数」という新しい概念を教えることになるわけですから。それは単に「小数点」とか「小数第一位」とかの知識を教えるだけではなく、お子様にとっての「数の世界」が一気に広がり、増えるということにもつながるのです。


ここまでは「0の次は1」というのが、お子様にとっての数の世界でした。ところが、小数を理解するということは「0と1の間」にたくさんの数があるということを学ぶのです。そして、その間には無数の数があるという学びにつながります。お子様にとって、いままでは「0の次は1」と思っていたところに、その間には数えきれないくらいたくさんの数が存在しているということは、大きなカルチャーショックになるのではないでしょうか。その「カルチャーショック」をしっかりと味わってもらいたいのです。そのある種の「不思議さ」をしっかりと心に刻みながら、成長していってほしいと思っています。


小4では「小数」「分数」でこんな話をすることがあります。
「1÷7=0.14285714285714……」
「6÷7=0.85714285714285……」
永遠に終わりのない「循環小数」となります。
一方で「(1÷7)+(6÷7)=7÷7=1」となります。さて、「1÷7」「6÷7」の答えになっている循環小数の各位を足してみてください。「0.999999999999……」
数学の世界では「1≒0.9999999999……」ということになっているのですが、単にその知識を知っているということではなく、そこに「ちょっとした不思議」を感じるようになってほしいと思っています。

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