『15年経って初めて気がついたこと』
2023.07.07
犬を飼っています。フレンチブルドッグという犬種のメスで、もう15歳と6カ月になります。日本の犬の平均寿命が14.1歳ということのようですので、かなりがんばってくれています。食欲もありますし、特におやつのおねだりはすごいですし、お散歩もけっこう歩いています。ときには走ることもありますし。
そんなうちの犬なのですが、昔から「この子は水を飲むのがヘタだな」と思っていました。器に入れた水を飲ませているのですが、器の周りの床はベチャベチャになりますし、下顎のあたりもビショビショになってしまいます。前から気になってはいたのですが、別に大きな問題でもないので、そのままにしていたのですが、この間ふと思って、じっくり観察してみました。
犬を飼っていらっしゃる方はご存知だと思いますが、犬は器の水の中に舌だけを入れて水を飲みます。口ごと器に入れてガブガブと勢いよく飲むというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないのですが、そうではなく、まずは器に舌だけを入れて飲むわけです。その舌の動きを観察していたのですが、「えっ!?」という発見がありました。
言葉で説明するのは難しいのですが、なるべくわかりやすく書いてみます。 私は、「水の中に舌を入れて、舌の上に水を乗せて、上に丸め込んで口の中に入れる」というイメージを持っていたのです。ちょうどスプーンで「すくって」飲むような感じです。ところが、なんと舌は「上に」丸まるのではなく「下に」丸まっていたのです。15年間、一緒に過ごしていて初めて気がつきました。こんな基本的なことも知らなかったなんて、「飼い主失格」かとも思ったのですが、犬はじっと観察している私を、不思議そうな顔で眺めていました。
つまり、「舌を下に丸めることで、上から巻き込むように舌で水をつかまえて口の中に入れる」というように飲んでいるわけだ、と考えたわけです。犬ですから、人間と違うのは当たり前ですが、人間は舌を下に丸めることはできませんよね。私もやってみたのですが、もちろん無理でした。そのときは「器用だな」と思って、終わりました。
何日か経って、やはり気になってインターネットで検索してみました。そこで、さらに新しい事実がわかったのです。私が考えていたように「舌を下に丸め、上から巻き込むように舌で水をつかまえて口の中に入れる」 という方法で飲んでいるというのが定説だったそうなのですが、2010年にハーバード大学の研究者チームが、研究の上、真相を発見したそうです。
「舌を下に巻き込むことで、器から水を浮かせて(水柱)を作り、その水をカプっとくわえる」というような方法で飲んでいたのです。言葉で書くとわかりにくいですので、ご興味のある方は、インターネットで探してみてください。スーパースローの動画が公開されていて、それをご覧いただくとよくわかると思います。驚きました。その飲み方に驚いたのではなく、1万年以上前から家畜化され、人間の一番古い「友達」と言われている犬の生態について、ここまで知られていなかったことがあるということに、本当に驚いたのです。しかも、特別なことではなく、「水を飲む」という日常的な事柄について。世界中のたくさんの犬が、毎日何度も水を飲んでいることでしょう。その飲み方が判明したのが2010年になってからということに。
人間と犬を比べるのもおかしいですが、ご家庭で毎日一緒に過ごしているお子様についても、もしかすると見えていない部分があるかもしれません。ちょっとした仕草など、「あれ?」と思うような場面があるかもしれません。もうすぐ「夏休み」が始まります。お子様と一緒にいる時間も増えると思いますので、少し「観察」していただくのもよいかもしれません。
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