四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『塾の先生に求められるもの ~塾講師の専門性②~』

2024.05.10

前回の記事の続きとなります。前回は、塾講師は入試のスペシャリストなのだから、求められるのは次のようなポイントだと書かせていただきました。
①入試問題に関する専門知識
②入試全般に関する専門知識
③中学受験へ向けたカリキュラムに関する専門知識
④わかりやすく教えるための授業技術や手法
上記のようなポイントは、私が早稲田アカデミーの講師に研修を行うときの導入として伝えている項目になります。自分が中学受験を経験して、最難関校に合格したというだけでは、やはり「よい先生」にはなれないと思っています。言い換えれば、塾講師にとって必要なものは「難関中の入試問題で正解できる」という解答能力だけではないのです。


さて、今回はもう一つの「求められる要素」について書かせていただきます。私個人としては、一番大切なものだと思っているのですが、それは「目の前の生徒に関する知識」です。4月に今年度の新卒入社の講師に対して研修を行う機会がありました。そのときに伝えたのが、「目の前の生徒のスペシャリストになれ!」という一言です。こんな言葉で話をしました。


「入試に関する知識や入試問題に正解する力などは、(新卒として入社した)この瞬間に私に勝てるはずはないだろう。私は早稲田アカデミーの講師として30年以上勤務してきている。その経験と、その中で蓄積された知識量に、いま勝てる人はこの中にいないと思う。しかし、生徒の成績を上げて、合格に導くという力を考えると、この中から私に勝てる職員が出てくるはずだ。そのためには、目の前の生徒のスペシャリストになることが必要である。担当している科目のどの単元が得意で、どの単元を苦手としているか。考える問題は好きだけれど、覚える作業からは逃げてしまうことがある。そんなところをすべて把握しておかなければならない。そして、自分の科目だけではなく他科目にも目を向けて、学習面だけではなく日常生活のことも理解して、どんなゴールを目指しているかもきちんと把握して、そして毎回の授業に臨むことが大切である。そのために必要なのは、やはり『成績を上げたい』『生徒の夢をかなえたい』という強い情熱にほかならない」
この話を聞いていた新卒講師職員たちは、大きくうなずいてくれていました。


もう10年以上、このブログや中学受験情報誌のコラムなどを書かせていただいております。また、保護者さま向けセミナーなどでもお話しさせていただいてもおりますので、まれに遠方から「福田先生の授業を受講したい」というご連絡をいただくことがあります。お近くにお住まいで通塾時間も負担にならない距離であればよいのですが、それ以外の場合は、基本的にお断りをしています。扱っているテキストもカリキュラムも、私だけ特別なものではありません。


また、そういったご相談は、小6の夏休み前後から入試直前の年末くらいの時期に多くなります。志望校に向けて「あと一歩」というところにきていて、ここで何か手が打てないか、という保護者さまのお気持ちはよくわかります。しかし、私にいくら中学受験に関する知識や経験があったとしても、そのお子様のことを知らなければ、効果的な学習指導はできないと思っています。早稲田アカデミーのNN志望校別コース(志望校別対策講座)は、その志望校に完全特化した授業になりますし、その学校を目標としている同じレベルの生徒たちが集まっての授業ですので、それは非常に効果的なのですが、平日の授業の場合はそうはいきません。そういったご相談をいただいた際には、「いままで見てきてくれた先生を信じて、最後までがんばってください」という内容でお答えさせていただいております。


今年の2月まで担当していた小学6年生たちは、小学3年生から4年間見てきた生徒たちでした。学習面だけではなく、ご家族のことも習い事のことなどもいろいろと把握をしていました。「彼らのスペシャリスト」であったと自負しています。今年から、また新たに小3と小5を担当し始めています。その生徒たちのこともかなり「見えて」きたつもりです。彼らにとっての「Nо.1」の先生になれるように、私も研鑽してまいります。

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