『明るい表情で塾に来てほしい、と思っています』
2022.04.15
先週末から急に気温が上がってきました。台風1号も発生しているようですし、街には半袖姿も目立ち始めました。桜(ソメイヨシノ)が終わったら急に「初夏」がきた、そんな印象です。暖かくなってくると、生徒たちは活動的になってくるように思います。授業に参加する表情も明るくなってくるようなイメージです。
先日、校舎で三者面談を実施したときの話です。お母様とお子様がお帰りになるときにエレベーターの前でお子様に「そういえばメガネ変えたね」とお声をかけました。お母様が少し驚かれて、「メガネを変えたのもわかるんですね」とおっしゃったのですが、「毎日ではありませんけれどお子様を見ていますから……」とお答えしました。
塾の講師は、私に限らずお子様のお顔をよく見ています。さすがに新しいスニーカーを履いてきたときに気がつくことは少ないかもしれませんが、髪型が変わったり、メガネが変わったりすれば、それはわかるものです。こんなこともありました。まだ入塾して間もなく、性格も大人しめで口数も多くない女の子がいました。ある日、授業前に私が校舎の前にいたところ、その子が登塾してきました。普段よりもにこやかで、何か言いたそうな表情で近づいてきたので、「どうしたの?なんかうれしそうだね」と声をかけてみたところ、「誕生日なの、今日」と教えてくれました。「そうなんだね、おめでとう!プレゼントは何もらったの?」というような言葉を2つ3つ交わして、そのまま授業に向かわせたのですが、それから彼女の授業に参加する姿勢が少し変わったように思います。性格が急に変わるわけではないので、一気に積極的になったということではありませんが、授業中の笑顔が増え、手が挙がる回数も増えていきました。
表情を見て注意の仕方やほめ方を変えることもあります。わかりやすい例で書かせていただくと、たとえば漢字テストで90点だった生徒が二人いたとします。悔しそうな表情をしている生徒、うれしそうな表情をしている生徒がいたとします。当然、声のかけ方は変わってきます。クラス全体としての合格ラインが90点と設定されていても、そこでの接し方によって生徒の気持ちも変わってくるわけです。ちなみに前回は合格点が取れていた生徒や、本来であれば十分合格点がとれる力を持っている生徒が、合格点に達せずにそれでも平然とした表情をしているときには厳しめに注意をすることがあります。
我々がお預かりしているのは、単なる「一人の生徒」ではなく、○○くん・△△さんという名前を持った「それぞれのお子様」なのだということを、講師に向けた研修などではよく話しています。テキストに載っていることをどう教えるかという知識や技術はもちろん大切ですが、それ以上に「人を大切にする」という視点が講師にとっては大切なのだということも伝えています。そのためには毎回の授業やその前後で、生徒と接するときに、「顔や表情をよく見る」というのは本当に大切なことだと、私自身ずっと考えてきています。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」ためには、そこがスタートラインだとも思っています。
ご家庭ではもちろん我々以上にお子様の表情などには気をつかわれていることと思いますが、我が子の顔をもう一度よく見てみるというのもよいのではないでしょうか。
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