四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『もっと花ひらけ、ワタシ。』

2023.03.22

早稲田アカデミー各校舎では、来週から春期講習会がスタートいたします。ちょうど首都圏で桜が満開の時期に重なるようですが、早稲田アカデミーの各校舎には、ちびまる子ちゃんが桜の花を見上げているポスターが貼ってあります。「もっと花ひらけ、ワタシ。」という言葉が添えられています。


春期講習会。早稲田アカデミーの一年間のカリキュラムの中で、年間3回(春・夏・冬)の講習会は非常に重要な位置付けとなっています。それぞれの学年やクラスによってカリキュラム的に扱う内容は異なります。既習内容を中心に扱うクラスもあれば、未習単元の先取りに時間を割くクラスもあります。ただ、どちらの場合も通常期の授業よりも集中的に、さらに長い時間の授業が展開できますので、普段はなかなか扱えない部分に焦点をあてた指導を行うことができます。


通常期の授業は一週間ごとに別単元を扱いますので、どうしても「追われて」いるようなイメージになってしまいます。算数を例に出せば、教わった解き方を覚えて、それを使いこなして答えを出す……そんな学習スタイルになってしまうのは、ある程度は仕方のないことだとも思います。講習会では、その解き方の本質的な理解を深めたり、解き方の先にある考え方に踏み込んだり、というような「考える力」を養うような内容にまで進めることができるのです。


「自分で考える力」を身に付ける。これは中学受験学習の一つの目的であり、難関校の合格を勝ち取るためには必要なことであるというのは、皆様もお聞きになったことがあるでしょう。以前にも何度かこのブログに書かせていただいたことがあります。その力は中学入試に必要なだけではなく、大学で学ぶときにも、そして社会に出てからも必ず役に立つもののはずです。一方で、現在の日本においては「自分で考える力」が弱くなっているとも言われています。中学入試だけではなく、高校入試も大学入試も「知識偏重から思考力重視」という方向になってきています。


なぜ、「自分で考える力」が弱くなっているのかに関しては、さまざまな議論がありますが、私がここで論じるテーマではないように思います。しかし、私も生徒を指導する中で、同じように感じています。早稲田アカデミーの授業の中では、生徒の思考力を喚起するために発問(問いをなげかけること)を行っています。「ここがこうなるから……このカッコに入る数字は……さて!なんだろう?」というような問いかけです。このような発問をしたときに、その問いに答えようと頭が回転し、考えはじめる生徒もいれば、回転がストップしてしまい「誰か答えてくれないかな」「先生、早く答えを言ってくれないかな」というような顔をしている生徒もいます。


「自分で考える力」を身に付けさせるためには、どんなに難しい問題でも諦めずに自分で考えるクセをつけていくことが大切です。もちろん、中学受験カリキュラムで学習する問題を全て自分で解くことは不可能です。いくら考えても(その時点では)できない問題もあるはずです。しかし、試行錯誤しながらその問題を考えることで、「自分で考える力」はだんだんと付いていくものです。毎週、テストを受けることで学力が上がると言われます。それは小学生が一番真剣に問題に取り組むのはテストを受けているときだからです。誰の助けも借りずに自分で解かなければならない緊張感と真剣さの中で、「自分で考える」ことを覚えていくのです。


また「自分で考える力」を養うためには、お子様が質問をしてきたときの保護者の皆様の対応も重要になってきます。質問をすることそのものは悪いことではありません。ただ、質問をして、解説を聞いただけで安心してしまい、それだけで「わかったつもり」になるのは、とてもよくないことなのです。できない問題をそのまま放置しておくことよりも、わかったつもりになってしまうことのほうが危険であるのはお分かりいただけると思います。


算数の質問を例にとってみましょう。
まず、お子様が質問を持ってきたら、どのような問題であったかを問いかけてみてください。たとえば、文章が長かったり、パッと見ただけで難しそうに感じたりして、その時点で考えることを止めていたとしたら、その問題の内容を正確に答えることができないはずです。本気で解こうとして考えてきたのであれば、テキストなどを見なくても、数字なども含め答えられるはずです。この時点で、ちゃんと考えていないとわかったら、「もう一度考えてきなさい」とつき返すのが一番だと思います。


ある程度まで、考えてきているようでしたら、どこまで考えてきたのかをもう一度説明させます。どんな図を書いてみたのかを再現させてみるのもよいでしょう。そして、その思考過程まで説明できれば、ほとんどの場合、そこからは簡単です。気が付いていない点に関してひとつふたつのアドバイスをすれば、正解までたどり着きます。その問題の内容をきちんと理解しているかどうかの確認をすること。次に、どのように考えたかを説明させること。最後にそこから正解にたどり着くまでの道筋をアドバイスしてあげること。これが質問に答える正しい方法です。実は、一から説明をしてしまった方が時間もかかりませんし、教える側は楽なのですが、その問題で正解をすることよりも、「自分で考える習慣を付ける」ことの方が大切なのだとご理解ください。

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