『Make10』
2024.04.05
小学生のころに、電車の切符に印字してある4ケタの数字を使って「10」をつくるという遊び(Make10)をした経験はありますでしょうか。私は父と電車に乗ったときに教わって、それから電車に乗るたびに、さらには4つの数字を見るたびに、「10」をつくる計算を考えていた記憶があります。私が勤務している校舎の職員に聞いてみたところ、やはりやったことがあるという意見が多かったです。
ルールは単純です。「4つの数字をすべて使う」「+-×÷はどれをいくつ使ってもよい」というだけです。たとえば「1234」という4つの数字で考えてみましょう。実はこの4つの数字で「10」をつくる方法はいくつもあります。 ① 1+2+3+4=10 ② 2×3+4×1=10 ③ 3×4-2×1=10 などなど 4つの数字を頭の中でいろいろと試しながら、考えていくという単純なゲームです。
実はこの「頭の中でいろいろと試す」「頭の中で数字や計算を考える」というのは、考える力を育てるためにとても効果があると思います。特に「かけ算・わり算」の基本を教わった小3から小4にかけて、こういった思考を育てておくと、小5以上の算数学習に大きく役に立つと思います。思考力の土台をつくることにつながりますから、中学受験のためだけではなく、将来にも大きく生きるはずです。
「頭の中で考える」という行為は、机の前だけでやることではありません。普段の生活のなかでもいろいろなタイミングで頭は回転しています。保護者の皆様も、「家事をしながらいろいろと考えている」という経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。というよりも、ほぼ毎日がそうなのではないでしょうか。私はこのブログ原稿の草案を考えるのは、朝出勤前にシャワーを浴びているときが多いです。習慣化されたことを行うときには特別「頭を使う」必要はないでしょう。そういったときに頭の中ではいろいろと「思考がかけめぐっている」……そんなイメージでしょうか。
以前、校舎の保護者会で上記のようなお話をさせていただいたところ、あるお母様から「先生の話を聞いて、毎日クイズを1題出すようにしたんです」というお話をうかがいました。朝、お子様に問題を一つ出す、そして夜寝る前にその答えを聞いてみる……そんな習慣をつくられたみたいです。正解だったらシールをカレンダーに貼る、そんな工夫もされたそうです。
「今日の1題」を出す場合には、お子様にとって「考える時間」が必要なものであることが望ましいと思います。瞬時に答えが出てしまうものではない方がよいわけです。最初にご紹介した「『1234』という4つの数字で10をつくる」という問題も、小3であれば「一つの方法(計算式)を考えてきなさい」でよいでしょう。できていたら翌日に「昨日とは違う計算で……」とするのもよいかもしれません。小4の場合には「3つの違う方法(計算式)を考えてきなさい」という問題の出し方にしてもよいでしょう。
算数の問題である必要もないわけです。国語ならば「条件を決めて俳句をつくらせる」「新しい漢字(創作漢字)を考えさせる」というような問題も面白いですね。社会的な問題でもよいでしょう。「コンビニエンスストアやスーパーマーケットのレジのそばに乾電池が置いてあるのはなぜか」というのは、小5以上では面白い問題になると思います。
さて、最後に「Make10」の問題をいくつかご紹介しましょう。 「2222」は…… 2×2×2+2=10 「3333」は…… 3×3+3÷3=10 「5555」は…… 皆さんも考えてみてください、2×5=10に気づけば簡単ですよね。 「9999」は…… 皆さんも考えてみてください、10に近いところだけで処理をしていると解けません。 「1337」は…… これはなかなか難しいはずです。
- 2024.04.05 『Make10』
- 2024.03.29 『質問への答え方 ~自分で考える習慣を身に付けるために~』
- 2024.03.27 『3月の終わり ~新年度スタートに向けて~』
- 2024.03.22 『小学校の卒業式』
- 2024.03.15 『中学受験へ向かわれる保護者の皆様へ②』