『ミスは意識してなおす』
2024.06.05
早稲田アカデミーの塾生の方であれば、「カリキュラムテスト」や「組分けテスト」の答案を見て、ミスが気になっていらっしゃる方も多いことでしょう。特に算数の「計算ミス」、国語の「漢字の覚え違い」などは気になるところだと思います。しかし、それらの「単純なミス」は対処しやすいものですし、学年が上がって入試へ向けた自覚が出てくれば、ある程度は改善されていくものです。しかし、意識していないとわからない「ミス」もあります。今回はそんな「ミス」について書かせていただきます。
人間である以上、「ミス」はしてしまうものです。一つも「ミス」をしない完璧な人間はいるはずがありませんから、「ミス」をすることそのものを否定する必要はないでしょう。ただ、同じような「ミス」を繰り返すのはよくありませんし、「ミス」をしないように注意深くなることも必要です。そのためには、自分が(お子様が)どのような「ミス」をしがちなのか、そしてその要因は何か、といった点を意識することが大切です。
「あるクラスの生徒に一人2枚ずつシールを配ったところ92枚あまりました。さらに3枚ずつ配ったところ4枚不足しました。クラスの人数は何人でしょう」という問題があります。小学5年生で学習する「差集め算」の基本問題です。 ある生徒の解答です。 2枚ずつ配ったときのあまりは92枚、3枚ずつ配ったときの不足は4枚 2枚ずつ配るときの必要数と3枚ずつ配るときの必要数の差は……92+4=96(枚) 一人に配る枚数の差は……3-2=1(枚) 96÷1=96(人)
いかがでしょうか。どこで「ミス」をしているのでしょうでか。解説にはこういう式と答えが書いてありました。 (92+4)÷(5-2)=32 答え 32人
もう一度、じっくりと問題を読んでみてください。ポイントになるのは「さらに」という一語です。この問題では「一人に2枚ずつ配ったあとに、さらに追加で3枚ずつ配った」という状況になっているのです。ただ、「ミス」をした生徒は「一人に2枚ずつ配ったあとに、(すべてを回収してから)新たに3枚ずつ配りなおした」という状況だと考えて、問題を解いてしまったわけです。問題の前提を読み間違えてしまっているので、当然正解にはたどりつきません。「2枚のあとに追加で3枚、だから一人がもらったのは5枚」という条件を読み取れていませんから、解説の式に出てくる「5」という数字の意味も理解できないわけです。
さて、ポイントになるのはこの問題の解説が理解できたところで、どう考えるかということです。単に「問題を読み違えていた」だけですから、算数として「差集め算」の考え方はできていたことになります。ですから「考え方は合っていたので大丈夫」と考えてしまうお子様が多くいます。実はそれでは同じような「ミス」をなくしていくことにはつながりません。「問題文を細部まで注意深く読む」「細かい表現の意味を考える」という点に注意をするようにならなければ、こういった「ミス」を減らしていくことにはつながらないのです。
算数で「ミス」というと「計算ミス」が一番に挙げられます。計算ミスの要因もいくつか考えられますから、どのような要因でミスをしているのかを分析することで改善に向かうはずです。ただ、計算ミスは学年が上がることで、さらには計算テストや計算ドリル(予習シリーズ計算など)を繰り返すことで、だんだんと改善されていくものです。
しかし、今回紹介したような「問題文の読み間違い」「条件の誤認識」といった「ミス」は意識しないとなかなかなおるようにはなりません。「解き方は合っていたから大丈夫」と終わらせてしまうのではなく、「次はきちんと問題を読もう」と考えられるようになり、その意識をもって問題を解くトレーニングを繰り返すことで、改善されていくはずです。
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