四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『共感するのは難しい』

2024.10.02

お子様から学校のことや、塾のこと、友達のこと、勉強のことなどについて、いろいろな話をお聞きになることがあると思います。うまくいっていて楽しいという話だけであればよいのですが、ときには「ちょっと困っている」「つらい」というマイナス面の話もあるでしょう。そんなとき、どのように接してあげるのがよいのでしょうか。


よくいわれるのが「共感する」という言葉です。「子どもの気持ちになって一緒に考える」ということです。大人にとってはたいしたことのない事象でも、子どもにとってはとても大きく心が動かされることもあるはずです。そんなときには大人の考え方や感じ方で話をするのではなく、子どもの感じ方をしっかりと受け止めて、そこから話を進めていくことが必要になるのは間違いありません。


一方で「共感する」というのは、難しいことだとも考えています。子どもも、ある程度成長してくれば、自我が生まれてきます。毎日ご一緒に生活をされているわけですから、学校の先生や塾の講師よりもお子様の考え方や感じ方をご理解されているとは思いますが、それでもときには「共感しきれない」ということもあるのではないでしょうか。


さらに、お子様がお話しされることの中にすべてのことがらが含まれているとは限りません。ときには自己保身的な気持ちから無意識に、もしくは意識的に、自分にとって都合のよくないことを話さないということもあるでしょう。そういった不十分な情報の中では、お子様の本当の気持ちを理解するのが、難しい場合もあると思います。


お子様から相談を受けたときに、一番気をつけなければならないことは、その気持ちをわかった「ふり」をして対応することだと、私は思っています。それは保護者の皆様だけではなく、私たち講師がより一層気をつけなければならないことでもあるのですが。たとえば「算数が難しくなってきて大変だ」という相談を受けたときに、「うん、君の気持ちはわかるよ。大変だよね」という声をかけること、それ自体は悪いことではないと思うのですが、その先にどのように話を進めるかがポイントだと思うのです。「君の気持ちはわかるよ、だけどね……」という先に話される内容が、お子様にとって理解でき、納得できるものであればよいのですが、そうでなかった場合、「なんだ、結局わかってくれていない……」という気持ちになってしまう危険性もあるのです。


塾の講師は、一人ひとりのお子様の背景をすべてわかっているわけではありません。ご家庭の状況や環境、学校での過ごし方や先生との関係、友人関係や塾以外の習い事など、わかっていないことの方が多いわけです。そう考えると、安易に「気持ちがわかる」という言葉を使うことができないようにも思うのです。そういった場面において、私は「気持ちに共感する」というよりも、「君が今つらい状況にいることはわかった、理解した」というスタンスで話をするようにしています。塾の講師という視点で書いてしまいましたが、ご家庭におけるお子様への接し方にも応用できる部分があるとも思います。

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