『「地理的条件」も大切なポイント』
2024.11.08
11月3日に実施された「全国統一小学生テスト」の各校舎の保護者会では、「中学入試の現在」と題してお話をさせていただきました。この保護者会は全校舎で統一した内容となっていますので、どの校舎でも基本的には同じ内容でお話しさせていただいています。そのパワーポイントの中で「学校に求めるもの」として、以下の6つの項目が列記されています。
*進学校と附属校 *男子・女子・共学 *学校の方針 *宗教と無宗教 *地理的条件 *家族の出身校、など
保護者会ではその中で、上から3つについて詳しくお話しさせていただいているかと思うのですが、今回は触れていなかった「地理的条件」について書かせていただきます。
学校選びの基準としては、上記の項目以外にもいくつもの要素があります。「興味のあるクラブ活動の有無」や「制服」などが気になるお子様もいらっしゃるでしょうし、「費用」や「防災対策・安全対策」といった視点が必要な場合もあるはずです。その中で、どのご家庭にとっても外せない要素に「通学時間」があります。中学校から高校まで6年間の毎日のことですから、実はとても大きなポイントになるはずです。
どんなに気に入った学校であったとしても、ご自宅からの距離が離れすぎていて、通学に時間がかかり過ぎる場合には、現実的に通学は難しくなってしまいます。中学入試では、女子校を中心に出願資格に制限が設けられているところがあります。その場合は、自宅から学校まで「90分」という基準が一般的です。この時間を超えている場合の対応は学校によって様々なようですが……。
開成学園のホームページには、在校生の「通学区域」「通学時間」が掲載されています。中学生では63%程度の生徒が、60分以内のようでした。ただ、5%程度は90分以上となっていました。やはり開成ですから、遠くても通学している生徒がいるようです。まれに「転居」も視野に入れて学校選びをなさるご家庭もあります。また、通い始めた結果、想像以上に負担が大きくて「転居」を決断したというお話もうかがったことがあります。単に「通学時間の長さ」だけではなく、毎日の荷物の量(重さ)も大変だった、始業時間ではなく部活動の朝練に間に合うためにはさらに朝早く起きなければならなかった、お弁当を朝早くに作ることになるお母さまも大変だった、という様々な点から、お父さまを説得なさったというお話でした。
中学校へ進学してから校舎に遊びに来てくれる生徒たちがいます。「部活動は何をはじめた?」「科目で大変なのはなに?」「定期テストの結果はどうだった?」など、時間があればいろいろな話をするのですが、その中で「通学時間になにをしている?」ということもよく尋ねるようにしています。以前、担当していたクラスの生徒が連れ立って遊びにきてくれたときにも「通学時間になにをしているの」と聞いてみました。 ①「だいたい寝ている、寝ていないときは音楽を聴いている」→女子 ②「テスト前は勉強している、本を読んでいることも多い」→男子 ③「週に2回~3回は友達と待ち合わせて、おしゃべりをしながら」→女子 ④「(学校とは別の)英語の勉強をしている」→男子 ⑤「ボーっとしながら、考え事をしている(文芸部で書いている小説のことを)」→女子 ⑥「自転車をこいでいる」→男子 こんな回答が返ってきました。少し前の話なのですが、生徒の顔を思い出すと(通っている学校も知っているので)「こんなことを言っていたなぁ」という記憶が戻ってきました。「スマホを見ている」という答えも予測していたのですが、「電車の中でスマホを使うのは禁止」という校則の学校もあり、また親との約束もある生徒もいて、スマホという答えは返ってきませんでした。
片道40分としても、往復で1時間20分、その時間を6年間費やすわけですから、それなりに有意義な時間にすることが必要だと考えています。「学校選び」の段階でお考えいただくことも必要ですが、実際に通学を始めたときには、電車の中でどんな風に過ごすかといった点などもお話しいただくのがよいと思います。
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