『「おつり」を知らない子どもたち』
2024.09.11
以前、NHKの番組で「『おつり』を知らない子ども」がいるという特集をやっていました。現代は「キャッシュレス社会」になってきていて、現金で買い物をした経験がない子どもが増えてきているので、「おつり」という概念を持っていない子どもがいるという内容でした。たしかに、私の校舎の下にあるコンビニエンスストアで飲料などを買っている生徒たちを見ていると、「お財布から現金を出して」という生徒よりも、「交通系ICカード」を使ってピッとやっている生徒の方が多いようです。算数の問題で「1000円札を持って買い物に行きました。750円の品物を買いました。おつりはいくらでしょう」という問題はなくなり、「残高1000円のカードを持っていました。750円の品物を買いました。残高はいくらになるでしょう」と変わるのではないか、というコメントをしている出演者の方もいらっしゃいました。ただ、実は算数の問題では、あまり「おつり」という言葉は使われていません。「残りはいくらでしょう」という表現の方が一般的です。
数回前のブログで「夕立」という言葉を知らない生徒がいる、と書かせていただきました。世界や社会の変化(進化)の中で、使われなくなってきている言葉も増えてきているようです。特に電化製品では、保護者の皆様の世代では当たり前だったものが、今は見かけなくなっているものが多いのではないでしょうか。よくいわれるところでは、「ワープロ」「ファックス」などがあげられます。「クーラー」という言葉も今ではほとんど使われないのではないでしょうか。夏にしか使わない「クーラー」は、一年中使用できる「エアコン」に進化しているのですから。同じように見た目はほとんど同じでも、機能が増えたことによって呼び名が変わった機械はいくつかあります。銀行にある「CD(キャッシュディスペンサー)」もいまはほとんどなくなってしまい、「ATM」に変わりました。「CD=現金自動支払機」「ATM=現金自動預払機」の違いがあるのはご存じでしたでしょうか。
電子機器の記録媒体・記憶媒体もここ20年くらいで、大きく変わったもののようです。私が初めて購入したパソコンは「カセットテープ」にデータを保存するタイプのものでした。音楽を録音するのは「カセットテープ」から「MD」「CD」と移り変わり、いまではスマホに保存するのが一般的なようです。先日、校舎の机の中から「フロッピーディスク」が出てきました。若い職員に見せたところ、「名前は知っていましたけれど、実物を見るのは初めて」と言っていました。
中学受験の出典は、昭和時代に書かれたものも出てきます。その中に、いまでは「消えてしまったもの」が登場することがあります。
例えば以下のような問題です。 「〇〇(主人公)が[???]間に下駄を脱ぎ捨てて、部屋の中に入った」 [???]に漢字一字を入れなさい、という設問でした。「居」と書いている生徒がほとんどでした。正解はもちろん「土」です。ただ、現代では「土間」はほとんど見かけなくなっていますから、説明をしたのですが、なかなかイメージがわかない生徒も多かったようです。
「キョウダイの前で身支度を整える」 カタカナを漢字で書かせる設問です。「兄弟」という誤答が多くありました。正解は「鏡台」です。「身支度を整えるときには、どんなものの前でやるかな?」「あっ、鏡!」という解説をするのですが、「鏡台」もほとんど見かけなくなったものの一つでしょう。
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